2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本語教育と文化リテラシーに関する理論的研究、および、実践モデルの開発
Project/Area Number |
15320066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
佐々木 倫子 桜美林大学, 大学院・国際学研究科, 教授 (80178665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門倉 正美 横浜国立大学, 留学生センター, 教授 (80127753)
細川 英雄 早稲田大学, 日本語教育研究科, 教授 (80103604)
砂川 祐一 群馬大学, 社会情報学部, 教授 (90196907)
牲川 波都季 早稲田大学, 日本語研究教育センター, 助手 (30339733)
川上 郁雄 早稲田大学, 日本語教育研究科, 教授 (30250864)
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Keywords | 日本語教育 / 文化リテラシー / 日本事情教育 / 多文化 / リテラシーズ / 隣接分野 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「文化リテラシー」、つまり、自身の背景とは異なる文化に接した日本語学習者が自己のアイデンティティを認識し、納得しながら問題を解決していく能力の形成を取り上げるものである。多文化を読み解く力、異なる種々のリテラシーを自己の中に形成していくプロセスを重視する日本語教育をテーマとする。 本年度は、研究会を定期的に持ったが、わけても、3人の隣接分野の研究者(野元弘幸氏「課題提起型日本語教育の方法」、中村敦雄氏「国語の基礎学力としてのメディア・リテラシー」、田島信元氏「比較文化心理学から文化心理学へ」)を招聘した会が理論構築に果たす役割は大きいと思われる。3氏の講義とそれに続く討議はすべて文字化を終わって、現在まとめられつつある。他の研究会組織との共同研究も進め、研究会Ciranai janとの『自己と社会』(西原和久著)読書会を毎月開催した。また、「母語・継承語・バイリンガル教育研究会」と言語マイノリティの子供のリテラシーをテーマに、研究会を2回共同開催した。 一方、同様のテーマのもと、広く論考を公募する『21世紀の『日本事情』-日本語教育から文化リテラシーへ-』第5号を2003年10月に刊行した。さらに、本研究の途中経過も踏まえて「文化リテラシー」の概念の明確化をはかり、多様なリテラシーという観点から、研究会誌名を「リテラシーズ」と改称した。そして、より多くの議論を喚起すべく、年3回のEジャーナルと年1回の印刷媒体での刊行とし、2004年2月末日に『リテラシーズ-ことば・文化・社会の日本語教育へ-』創刊号をアップした。 今後の研究の展開であるが、理論的追究の深化を目指し、内部研究会の開催と、隣接分野の研究者を招聘しての研究会の開催を継続し、その成果をEジャーナル等の媒体を用いて、広く共有していく予定である。
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Research Products
(23 results)
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[Publications] 佐々木 倫子: "書評空間 日本語表現・文型事典"月刊 言語 4. Vol.32/No.4. 119 (2003)
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[Publications] 佐々木 倫子: "3代で消えないJHLとは? 日系移民の日本語継承"日本語教育学会春季大会パネルセッション「もう一つの年少者日本語教育-継承語教育の課題」 日本語教育学会春季大会予稿集. 2003年5月25日. 242-245 (2003)
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[Publications] 佐々木倫子: "加算的バイリンガル教育に向けて-継承日本語教育を中心に-"桜美林シナジー. 創刊号. 23-38 (2003)
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[Publications] 細川英雄: "大学院に行こう"月刊日本語. 2003年4月号. (2003)
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[Publications] 細川英雄: "個の文化 再論:日本語教育における言語文化教育の意味と課題"21世紀の 日本事情. 5. (2003)
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[Publications] 細川英雄(共同執筆論文): "総合活動型日本語教育におけるゼロビギナーへの試み"講座日本語教育. 39. (2003)
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[Publications] 細川英雄(評論): "学習者主体への道-学習・研究・教育を結ぶ視点"論集 ひととことば. 4. (2003)
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[Publications] 細川英雄: "鳥を野に放つ-言語学習環境論とは何か(2002年3月ドイツ語圏大学日本語教育研究会ベルリンシンポジウムから)"講座日本語教育. 38. (2003)
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[Publications] 砂川裕一: "新たな日本語教員養成プログラムと日本事情論の視界"21世紀の「日本事情」---日本語教育から文化リテラシーへ---(「21世紀の『日本事情』編集委員会」編). 第5号. (2003)
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[Publications] 川上郁雄: "年少者日本語教育における「日本語能力測定」に関する観点と方法"早稲田日本語教育研究. 第2号. 1-16 (2003)
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[Publications] 川上郁雄: "JSL教育学の構築へ向けた予備的考察-オーストラリアのESL教育の分析を通じて-"早稲田大学日本語研究教育センター紀要. 第16号. 17-35 (2003)
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[Publications] kawakami, Ikuo: "Resettlement and Border Crossing : A Comparative Study on the Life and Ethnicity of Vietnamese in Australia and Japan"International Journal of Japanese Sociology. No.12. 48-67 (2003)
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[Publications] 川上郁雄: "年少者日本語教育実践の観点-「個別化」「文脈化」「統合化」-"早稲田日本語研究. 第12号. (2003)
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[Publications] 門倉正美: "「就学生」、「日本留学試験」、「アカデミツク・ジャパニーズ」--近年の日本における日本語教育の動向--"ヨーロッパ日本語教師会ニューズレター. (2003)
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[Publications] 門倉正美: "日韓共同理工系学部留学生事業協議会報告--「日韓プログラム」の特徴と「アカデミック・ジャパニーズ」の位置づけ"専門日本語教育研究. 第5号. 17-20 (2003)
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[Publications] 門倉正美: "アカデミック・ジャパニーズとは何か"『日本留学試験とアカデミック・ジャパニーズ』科学研究費補助金(A)(1)課題番号14208022. 123-132 (2003)
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[Publications] 門倉正美: "「ことばは男が支配する」のか--スペンダーとイリイチを読む--"大学におけるジェンダー教育の可能性. 101-113 (2003)
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[Publications] 牲川波都季: "相互評価システムに対する学習者の意識-高等学校における<日本語表現>受講者へのインタビュー調査から"早稲田大学日本語研究教育センター紀要. 16号. (2003)
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[Publications] 田中里奈, 牲川波都季: "識字教育と日本語教育を結ぶための文献紹介"web配信リテラシーズ. 第1巻1号. (2004)
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[Publications] 佐々木倫子(共著): "在外日本語教師の訪日接触場面 接触場面と日本語教育-ネウストプニーのインパクト-"明治書院. 383-395 (2003)
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[Publications] 佐々木倫子(共著): "ブラジルの日本語教育 言語の接触と混交 日系ブラジル人の言語の諸相"大阪大学21世紀COEプログラム,インターフェイスの人文学 Group5. 80-87 (2003)
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[Publications] 細川英雄(共著): "国語表現II"三省堂. (2004)
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[Publications] 細川英雄(共著): "「総合」の考え方と方法"早稲田大学日本語研究教育センター. (2003)