2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15320080
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐藤 マサ子 日本大学, 国際関係学部, 教授 (20235394)
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Keywords | 職人歌合 / 比較史 / 文化比較 / 生産文化 / 日独 / 日本文化 / ドイツ文化 / 職人(Handwerk / Handwerker) |
Research Abstract |
生産の背景を成す文化的な特色を日独(或いは日本とヨーロッパ)に関して比較研究してきた。主に二つに分類できる方向と題材を基に行い、以下のような研究の進展があった。 A.「職人歌合」のもつ(1)伝統継承の側面と、(2)時代の社会構造的転換が詩的表現に反映されている様相に関して、(3)同時代ドイツの伝統詩の継承や表現様式等の変遷との「比較」を検討してきた。これには(4)詩歌の社会的担い手(文化と階層の関係)の問題が関連しており、平行的に調査を進めている。 B.詩歌の伝統継承に深く関わる「伝統的な概念」や「モチーフ」の継承と変容過程に関して、主に、神話モチーフの継承と変容の面から研究を進め、一部成果を纏め発表した(研究発表欄に論文に関しては記載した。その他、04年9月に行われたラトヴィア大学シンポジウムでは口頭報告も行った)。 A及びBを進展させる過程においては、特に、近年ドイツの文化史研究で研究方法上に大きな影響を与えている、エジプト学者、ヤン・アスマンによる『文化的記憶』の研究に注目してきた。類型化された固有の文化的伝統が形成される仕組み、更には或る文化特有の求心力をもつ「心性」が形成され、それによって今度は文化が方向付けられていく仕組み等の解明の方法を特に参考にしている。生産の基盤を成す共同労働の編成や労働価値意識の方向付けなどに与える文化の影響(生産文化)の在り方を考える上に重要だと思われる。このアスマンの研究方法が日本文化研究に関しても有用である事を証明した内容を「序論」とし、既発表論文を纏め直し、未発表論文を加えて全体を統一視点からドイツ語で纏めた著書原稿(当研究成果の一部)を「平成17年度科学研究費研究成果公開促進費(学術図書)」に応募している。
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Research Products
(3 results)