2003 Fiscal Year Annual Research Report
異系統土器の出会いに見る集団の移動・居住・相互関係、背景にある社会の形態
Project/Area Number |
15320106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 啓爾 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70011765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 静夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70169184)
後藤 直 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20292732)
宇田川 洋 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50107520)
石川 日出志 明治大学, 文学部, 教授 (40159702)
佐藤 宏之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (50292743)
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Keywords | 縄文土器 / 弥生土器 / 土師器 / 編年 / 系統性 / 移住 / 情報技術 / 画像データ |
Research Abstract |
初年度である本年度は、異系統土器の出会いという現象に関し、研究代表者、研究分担者が共通の認識と問題意識を共有し、今後の研究のための共通基盤を形成することが第一の課題であった。4回開催された研究会では、この目的に沿うよう、「弥生土器と朝鮮系無文土器の出会い」、「オホーツク土器と擦文土器の出会い」など、この現象の典型的な事例について研究発表と討論が行われた。とくにオホーツク土器と擦文土器については東京大学常呂実習施設と周辺の収蔵施設の標本を実地に検討しながら研究会が開催され、非常に有意義であった。 膨大な土器データの効率的な分析のために計画されている情報技術応用のため、約1万2千枚(土器数にして約6万個)の実測図・写真をスキャニングによりパソコンに取り込む作業が完了し、完全に整理された膨大な画像データが瞬時に取り出され、比較や集成が短時間のうちになされ、発見地が地図上に表示されるシステムが構築された。またインターネットによる考古学情報公開のモデルケースの第一歩として計画されている『東大考古学研究室研究紀要』の公開の準備が進められ、来年度にはサーバーにアップロードされる予定である。 個々の時代の土器については、代表者・分担者による個別的な分析研究が進められたが、研究代表者の場合、縄文前期について上記システムを利用して研究を進め、従来の縄文土器研究を超え、研究の目的自体を革新できる成果があった。これについては来年度に論文化できる見通しである。分担者による個々の分野の土器研究も前進し、研究課題である現象の総合的把握への準備が整えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 今村啓爾: "縄文土器とは何か:美術史のためのアウトライン"国華. 1293号. 25-36 (2003)
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[Publications] 後藤直: "朝鮮半島農耕の二つの始まり"2002年度センター部と弥生博・近つ博・民家博との共同研究事業における研究成果報告書. (印刷中). (2004)
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[Publications] 大貫静夫: "極東平底土器諸文化の再編成と続極東平底土器の世界"大学合同考古学シンポジウム「縄文と弥生」予稿集. 25-30 (2003)
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[Publications] 佐々木憲一: "弥生から古墳へ-世界史の中で"古墳時代の日本列島(青木書店). 3-22 (2004)
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[Publications] 熊木俊朗: "鈴谷式土器編年再論"アイヌ文化の成立(北海道出版企画センター). 137-159 (2003)
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[Publications] 西秋良宏: "イラン、マルヴ・ダシュト平原の先史土器"東京大学総合研究博物館考古美術(西アジア)部門所蔵考古学資料目録. 第6部. 178 (2003)
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[Publications] 宇田川洋(共編): "新北海道の古代2(続縄文・オホーツク文化)"北海道新聞社. 238 (2003)