2006 Fiscal Year Annual Research Report
異系統土器の出会いに見る集団の移動・居住・相互関係、背景にある社会の形態
Project/Area Number |
15320106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 啓爾 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (70011765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 直 東京大学, 名誉教授 (20292732)
宇田川 洋 東京大学, 名誉教授 (50107520)
大貫 静夫 東京大学, 教授 (70169184)
佐藤 宏之 東京大学, 助教授 (50292743)
西秋 良宏 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (70256197)
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Keywords | 縄文土器 / 弥生土器 / 土師器 / 編年 / 系統性 / 移住 / 情報技術 / 画像データ |
Research Abstract |
最終年度である今年度は、残された課題およびまとめとして(1)東北地方と北海道の「弥生土器」と「続縄文土器」の区分の問題、(2)胎土分析という自然科学的分析がどこまで本課題の諸問題の解決に寄与してきたか、また今後の可能性、(3)自然環境の変化がどこまで縄文土器の土器系統の移動の原因になっている可能性があるか、(4)縄文・弥生・土師器を超えた土器に関する基本的な概念、すなわち「型式」、「様式」、「系統」、「類型」、などの関係と整理について検討が行われた。(1)のために東北地方北部での資料の検討と現地での研究会が催された。 (4)については、土器の実態がさまざまな流れの集合体であり、その流れがしばしば遠方に到達することが研究分担者間で共通に認識され、それを流れとして重視する「系統」として捉えるか、いくつかの要素からなる類似性をひとまとめにした「類型」という概念でとらえるか、さらにそれらの集合体である「型式」は、組み合わせの内容が異なれば別の型式とすべきかどうかが討論され、山内清男の「型式」がさまざまな要素(「系統」や「類型」に分けられる)の現実の集まりを実態としてそのままとらえようとする概念であるのに対し、主に弥生土器で用いられる「様式」概念は、組み合わせを強く意識した概念である点において相対的な違いがあることが明らかにされた。 この4年間の研究成果を広く公開報告するため11月25、26の2日にわたり東京大学で「異系統土器の出会い」報告会が開かれたが、250部用意した発表論文集が売り切れるほどの盛況で、この問題に対する学界の興味の高さが示された。なお本研究課題の成果は、『異系統土器の出会い』という論文集として2008年同成社からの出版をめざして準備が進められている。
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Research Products
(7 results)