2003 Fiscal Year Annual Research Report
須恵器生産における古代から中世への変質過程の研究―近畿地方を主な検討材料として―
Project/Area Number |
15320108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 照彦 大阪大学, 文学研究科, 助教授 (10249906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助教授 (50205663)
寺前 直人 大阪大学, 文学研究科, 助手
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Keywords | 須恵器 / 緑釉陶器 / 篠窯跡群 / 窯業 / 古代 / 中世 / 平安時代 |
Research Abstract |
本年度は、主に、(1)平安時代窯業生産にかかわる基礎的な資料の収集、(2)既知の須恵器窯跡群などに関する研究論文の再検討(3)主要窯跡群の測量調査、の3点を実施した。 (1)については、平安時代の近畿地方において、須恵器を初めとする窯業生産地の一大中心地であった、京都府亀岡市の篠窯跡群を特に具体的なフィールドに定め、現地での踏査を試み、窯跡の存否の確認や須恵器などの表面採集を行って、基礎的データの収集に努めた。またそれとともに、亀岡市文化資料館や立命館大学で保管されている、篠窯跡群採集資料についても、実見調査した。今後は、篠窯跡群のデータを充実させるとともに、それ以外の窯業生産地についてもデータの収集を行う計画である。 (2)に関しては、(1)の知見を踏まえ、特に篠窯跡群に関する既往の研究を再検討した。その結果、篠の窯業生産として大きな変質を示す緑釉陶器生産の開始時期が、従来よりも古くなることを明らかにした。また、操業の動態についても、単純な窯の選地移動を想定する旧説が再考されるべき点を指摘した。さらに、篠窯跡群の須恵器編年については、平安期の近畿における窯業生産の機軸となる重要なものだが、これまでの諸説を検討し、妥当な編年序列を見出すとともに、特に既往編年案の実年代観に関しては問題がある点を明らかにし、新たな実年代の比定を試みた。 (3)については、やはり主要なフィールドに定めた篠窯跡群のうち、これまで調査が手薄であった、鵜ノ川北岸の地域の測量調査を実施した。それにより、窯体の存在や立地を確認し、今後、発掘調査などを行う上での準備作業的な成果を挙げた。 なお、この他、胎土分析にかかわる研究については、研究分担者が準備的な基礎検討を行った。ただし、本年度は当初より分析用のサンプルの収集に努める段階と計画しており、具体的な作業は次年度以降に行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 高橋 照彦: "平安京近郊の緑釉陶器生産"古代の土器研究. 5-19 (2003)
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[Publications] 高橋 照彦: "本山官山窯"古代の土器研究. 100-101 (2003)
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[Publications] 齋藤 努: "鉛同位体比産地推定法とデータの解釈について"国立歴史民俗博物館 研究報告. 第108集. 257-278 (2003)
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[Publications] 高橋 照彦 ほか: "日本古代史新講"梓出版社. 300 (2004)