2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島における初期製鉄・鍛冶技術に関する実証的研究
Project/Area Number |
15320109
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
村上 恭通 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (40239504)
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Keywords | 古墳時代 / 製鉄 / 鍛冶 / 復元実験 / 韓国三韓・三国時代 / 技術比較 / 銑鉄生産 |
Research Abstract |
本研究は考古遺物の観察および金属学的分析を通じて、古墳時代後期の製鉄・鍛冶技術を検討し、製鉄炉や鍛冶炉を復元したうえで操業実験を実施し、当時の技術や生成物の特質を実証的に解明することを目的としている。 平成17年度は昨年度実施した古墳時代後期の製鉄炉4基の復元実験により生成した鉄塊、鉄滓を主たる対象として調査し、記録(写真・図)し、ピックアップした資料に対して金属学的な分析を行った。その結果、条件を違えて操業した復元炉で多様な鉄が生成されていたことがわかり、なかでも銑鉄(鋳鉄)が安定的に生産されていたことがわかった。また、操業後の復元炉内の状況が遺跡の様相に近いことからも銑鉄生産が行われたことを支持するものと考えた。 さらに、研究目的の一つとして掲げていた三韓・三国時代における朝鮮半島の製鉄技術との比較も実施した。韓国の研究機関において、出土遺物、復元実験資料を観察し、その技術的特性を検討した。その結果、古墳時代の製鉄技術と多くの点で相違点があることを認識した。本成果を受けて、11月には朝鮮半島の復元製鉄炉で実験を行った。課題が多かった送風技術に難があり、鉄の生成は少なかったものの、炉内の反応について多くの所見を得、古墳時代製鉄炉とは全く異なった炉内反応があることを確認した。 平成15年度以来続けてきた製鉄遺跡、鍛冶遺跡資料の調査成果、復元実験の成果、そして金属学的分析成果を整理し、研究成果を報告書のかたちにまとめた。
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