2006 Fiscal Year Annual Research Report
中・近世における都市空間の景観復原に関する学際的アプローチ
Project/Area Number |
15320116
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤田 裕嗣 神戸大学, 文学部, 教授 (10181364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 昌明 神戸大学, 文学部, 教授 (30106760)
大城 直樹 神戸大学, 文学部, 助教授 (00274407)
山村 亜希 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (50335212)
仁木 宏 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 助教授 (90222182)
高橋 康夫 京都大学, 大学院工学研究科, 教授 (60026284)
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Keywords | 都市 / 景観復原 / 地籍図 / 町絵図 / 防長 / 山口 / 畿内 / 空間認識 |
Research Abstract |
1.伊丹市立博物館における絵図の熟覧を中心とした研究集会を開催した。元禄期の伊丹町絵図には地割を示す所有界とは別に、朱筆による界線が記されている。前屋敷を彷彿とさせ、元禄期にまで遡れば、前屋敷に類似した建築物は、畿内にも認められた可能性を指摘できる点で注目される。ちなみに前屋敷は、伊勢神宮を背景とした御師館が特徴である伊勢山田でも見られるが、その広範な分布は、東北地方を初めとした東国において指摘されてきた。2.さらに、建築史学の立場からの研究発表をもとに、討論をした。まず、高橋康夫氏による報告の意図は、中世京都の将軍御所が地方における在地居館に影響を及ぼしたとする「花の御所体制」論に対して、一石を投じる点にあった。さらに、黒田龍二氏による報告は、丹波篠山城下町における町屋に関する意欲作であった。上述の1とともに、建築史学の観点から問題が提起された。3.本年度における最大の成果は、1月に山口市内で開催した市民向けの公開シンポジウム「中世・近世の都市、山口をさぐる-地図からみた防長の都市-」である。その眼目は、地籍図という近代初頭の地図から中世を見通すためには、その間の近世にも目を向けるべきと主張する点にあった。地籍図によるパターン分析を駆使した山村亜希氏による中世の山口に関する報告に続いて、近世については土平博氏が報告し、考古学的な発掘を進められている山口市教育委員会からもコメントを頂戴し、会場からの質問を受け付けて、討論を行った。山口の中心部が描かれた近世の地図について、地籍図と対照しながら分析を加えた土平報告により、中世から近世を経て、現代に至るまでの変化を辿ることができた。そして、討論を通じて、山口については、城下町が萩に移された間の近世における大幅な改変を考える必要性が低い、幸運な事例であるという見通しが得られた。
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Research Products
(8 results)