2005 Fiscal Year Annual Research Report
空間・場所をめぐる諸権力の解明-沖縄を事例としたフェミニスト分析から-
Project/Area Number |
15320118
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
吉田 容子 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (70265198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大城 直樹 神戸大学, 文学部, 助教授 (00274407)
福田 珠己 大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (80285311)
影山 穂波 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 助教授 (00302993)
加藤 政洋 流通科学大学, 商学部, 助教授 (30330484)
吉田 道代 摂南大学, 外国語学部, 専任講師 (40368395)
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Keywords | 空間 / 場所 / 権力 / 女性 / ジェンダー / フェミニスト分析 / 都市 / 沖縄 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ジェンダーとともに、空間の構築に関わる諸要因をあぶり出すことであった。本土とは異なる歴史性を有する沖縄を対象とすることで、多面的な文脈からアプローチが可能となり、空間・場所に投影されたジェンダーをはじめとする権力関係を把握できるものと考えた。 吉田(容):沖縄(旧コザ)市を対象に、1950年代における特飲街成立の背景や、こうした特殊な空間にみられた権力関係について当時の新聞記事を言説資料として分析しつつ、空間の復元を行った。大城:沖縄からハワイへの移民の歴史を、文献を踏まえ整理しつつ、移民のアイデンティティ構築に関わる場所について、女性の立場に主眼を置いて考察した。影山:米軍旧軍用地の再開発の一環として那覇市おもろまちで進む「那覇新都心開発」に着目し、まちづくりへの女性の参加が少ないなか、積極的に関与する女性への質的調査から、都市の「居住空間」とジェンダーとの関係を明らかにした。加藤:「場所」の創出には様々な意図が絡み合い政治的な力関係が作用していることから、歓楽街という場所の創出過程を明らかにするため、那覇市安里(旧真和志村)につくられた商業地「栄町」を取り上げた。神田:戦前期の沖縄には、与那国島の女護ケ島幻想に代表される男性観光客の欲望が投影された女性のエロティシズムの心象地理があり、それが那覇の辻遊廓に投影されたことで、辻が観光空間化されていったことを明らかにした。福田:沖縄県平和記念資料館、ひめゆり平和記念資料館、佐喜眞美術館を取り上げ、個人の戦争体験に基づく記憶がいかに集合的な記憶として可視化され、「再現」されているかを明らかにしつつ、ジェンダー化された過去や戦争表象にも着目した。吉田(道):本土出稼ぎの中心的媒体となっている求人情報誌の分析や、職業安定所への聞き取り調査から、これらの媒体が沖縄の若年男女労働力の出稼ぎに果たす役割を明らかにした。
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Research Products
(6 results)