2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける21世紀の公共像-市場と情報による公権力の変容と法的再構築
Project/Area Number |
15330007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
紙野 健二 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10126849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福家 俊朗 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40083315)
市橋 克哉 名古屋大学, 大学院法学研究科, 教授 (40159843)
進藤 兵 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20242050)
本 秀紀 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00252213)
稲葉 一将 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (50334991)
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Keywords | 都市 / 公共性 / グローバル化 / 財政民主主義 / 透明性 / 行政立法手続 / 行政手続法 / 法治主義 |
Research Abstract |
最終年度にあたる今年度は、変貌著しい公法的諸制度とりわけ公権力の法的形態の現況を東アジアの視点から比較してきた過去二年間の分析作業を総合するものとして、この地域におけるあたらしい公共概念を構想した。すなわち、前年度までにとりまとめられた韓国、台湾、中国および日本の関連立法動向の調査結果を活用しながら、第一に、日本における公法的諸制度が抱える諸問題を、各国の法状況を意識しつつこれらを東アジアに共通して現れている現代的諸課題と位置づけ、他国の学会等において報告し、第二に、そこで得られた人的ネットワークも利用して、各国の立法、裁判例および学説に現れた公共の概念を本格的に比較検討するための国際シンポジウムを9月17日〜19日に名古屋大学において開催した。第一の研究活動は、中国山東大学法学院において開催された国際学術会議「中日公法学の課題と展望」において「日本の公法学における法治主義」と題して報告したもの、大学海外の法令調査を行う機関の一つである韓国法制研究院の依頼を受けて、2006年1月9日に開催された専門家招聘フォーラムにおいて、「現代財政法の諸課題-財政の公共性と透明性に照らして」および「日本における行政手続法05年改正の若干の論点-行政立法手続の整備-」と題して報告したものである。これらの報告は、日本の法制度とその課題を客観的に伝えるものとの評価を得た。第二の国際シンポジウムは、欧米の法原理をこの地域に共通のいわばものさしとするにしても、これを単純に導入するのではなくそれぞれに固有の社会状況との接合をいかに試み、それを理論化するかという東アジアに共通する課題をテーマに掲げて行われた。このシンポジウムにより得られた成果は、植田和弘ほか共編『グローバル化時代の都市』(岩波書店、2005年)所収の「都市における公共性と政治」の第1節および第2節をなすものとしてその一部が既に公表されているが、本共同研究の研究成果報告書に掲載され、次年度において公表が予定されている。
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Research Products
(4 results)