2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15330014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三井 誠 神戸大学, 法学研究科, 教授 (30030620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 隆 神戸大学, 法学研究科, 助教授 (70251436)
上嶌 一高 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40184923)
大塚 裕史 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40304290)
嶋矢 貴之 神戸大学, 法学研究科, 助手 (80359869)
池田 公博 神戸大学, 法学研究科, 助教授 (70302643)
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Keywords | 交通犯罪 / 過失犯 / 危険運転致死傷罪 / 刑罰・制裁論 / 交通事犯捜査 / 交通反則通告 / 交通犯罪者の処遇 |
Research Abstract |
本年度は刑事実体法、刑事手続法の両分野について、主として理論的・基礎的な研究作業に従事した。 刑事実体法については、(1)交通事犯で問題となっている業務上過失致死傷罪の解釈に関連して、刑事過失の本質およびその判断方法に関する検討が加えられた。特に最判平成15年1月24日(判時1806号157頁)を契機として、(1)信頼の原則を理由として注意義務違反を否定する場合と(2)結果回避可能性の不存在を理由として処罰を否定する場合の論理的関係が問題とされた。また、結果回避可能性を判断する際に仮定される「合義務的行為」をどのように措定するかも、実務において既に解決されているわけではなく、理論的検討を要する重要な課題であることが確認された。さらに、(2)危険運転致死傷罪については、アメリカ、ドイツ、フランス等各国の交通犯罪規定との比較作業を踏まえつつ、その解釈論上の問題点について検討を加えた。とりわけ(1)行為の危険が結果に実現したか否かをいかに判断するか、(2)信号を「殊更に無視」する等の主観的要件をいかに明確に定義づけるか等、来年度以降も検討を要する重要な問題点が残されている。また、同罪の量刑に関する実態調査・理論的研究も来年度以降の重要な課題となろう。その際は、道路交通法改正による罰則強化も視野に入れる必要がある。 一方、刑事手続法の分野については、主として(1)交通犯罪における訴追裁量の適否、(2)科学的な捜査手法の可否、科学的証拠の評価に関する捜査法・証拠法上の諸問題、(3)交通事犯の事実認定に関する問題点、(4)過失犯における訴因に関連する諸問題について包括的・理論的検討を加えた。来年度以降は、交通事犯対策の刑事手続に関する比較法研究、交通事犯の処遇、交通犯罪対策などの刑事政策的な実態調査も推し進め、より包括的な研究を展開していく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 三井 誠: "刑事手続法の行方-刑事司法の改革とその課題-"法学教室(有斐閣). 280号. 26-37 (2004)
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[Publications] 大塚裕史: "「因果経過」の予見可能性"板倉宏博士古稀祝賀論文集(勁草書房). (公刊準備中). (2004)
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[Publications] 橋爪 隆: "過失犯(上)"法学教室(有斐閣). 275号. 76-82 (2003)
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[Publications] 橋爪 隆: "過失犯(下)"法学教室(有斐閣). 276号. 39-48 (2003)
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[Publications] 嶋矢貴之: "過失犯の共同正犯論(一)-共向正犯論序説-"法学協会雑誌(有斐閣). 121巻1号. 77-122 (2004)