2003 Fiscal Year Annual Research Report
脱植民地化プロセスとしての戦後日本のアジア外交の展開と国内制約要因
Project/Area Number |
15330035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
浅野 豊美 中京大学, 教養部, 助教授 (60308244)
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Keywords | 在外財産 / 講和 / 賠償 / 引揚 / 植民 / 移民 / 占領 / 脱植民地化 |
Research Abstract |
本研究は、戦前に在外日本人が多数居住した、台湾、韓国、中国の三つの地域が戦後に日本との関係を結び直すにあたり、終戦後に連合国の各地軍政組織によって接収された在外日本資産が、賠償問題一般の中でどのように処理されたのかを、国内外の政治過程を踏まえて明らかにせんとするものである。 1年目の本年は、外務省に対する情報公開請求とアメリカでの資料調査を通じて、予備的な調査を行い、基本的な資料群の輪郭を把握し、どのような順序と方法で研究を進めていくのかを詳細に検討した。その結果、在外財産に関する調査が大蔵省によって包括的に行われ、その数字を東京のGHQが三つの項目と地域に分けてコンピューター処理を通じて計算していたことや、沖縄や北方領土もそうした地域に編入されていたことが明かとなった。 こうした数字の意味を把握するための当時のGHQ側の方針についても資料に依る調査・検討を行い、占領政策の途中において、在外資産をめぐる基本方針は、幾度かの変更を被っていたことが明かとなった。講和条約締結に至まで、その変更の要因と政治過程を調査していくことが今後の課題である。 戦後日本本土に引き揚げてきた人々の国内社会への統合がどのように進められていったのかという課題は、本研究の出発点であるが、それについての今までの研究をまとめたものを、細谷千博他編の本の中の一章として発表した。
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Research Products
(1 results)