2006 Fiscal Year Annual Research Report
コンテンツ産業におけるネットワーク外部性と産業構造に関する分析
Project/Area Number |
15330042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳川 範之 東京大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (80255588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新宅 純二郎 東京大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (00216219)
田中 辰雄 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (70236602)
野島 美保 成蹊大学, 経済学部, 助教授 (10349160)
大橋 弘 東京大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (00361577)
生稲 史彦 文京学院大学, 経営学部, 専任講師 (10377046)
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Keywords | コンテンツ / 情報財 / ネットワーク外部性 / 産業構造 / コピー可能性 |
Research Abstract |
今年度の研究においては、主にゲーム産業特にオンラインゲームと音楽産業について、ネットワーク外部性および、新しいビジネスモデルの影響について検討した。また、その結果生じつつある、産業構造の変化についても理論的に整理した。 オンラインゲームについては、消費者が製品サービスの提供に直接かかわってくる構造が、今までのコンテンツ産業にはない特徴であり、その結果、生じる消費者サイドのネットワーク外部性はどのようなものであるのかについて新しい知見を得た。また、そのような新しい変化が生じているなかで、どのようなビジネスモデルが、収益をあげられるかについても検討をした。 音楽産業については、ネットワーク外部性の構造が大きく変化してきており、この点に主に焦点をあてて分析を行った。音楽産業においては、コピーがかなり容易になってきており、そのような状況を踏まえて人々の音楽に対する需要も大きく変化してきている。その結果、音楽に関するネットワーク外部性の構造も大きく変化してきている。そのため、音楽産業において、どの程度のネットワーク外部性が現在生じているのか、コピー可能性がそれに対してどのような影響を与えているのかを検討した。また、コピーが容易になったことやインターネット配信が可能によって、音楽の供給サイドも大きな変化が生じている。音楽のインターネットによる無料配信なども進んできている。よって、今後コンテンツ産業はコンテンツそのものから対価を得るのではなく、広告や他のアナログサービスとの抱き合わせ等によって収益を得るビジネスモデルに大きく変化しつつあることが確認された。 このような状況変化を踏まえて、コンテンツ産業の産業構造がどのように変化していくかが主に理論的に検討された。インターネットを中心として、ディストリビューションチャンネルが大きく変化してきており、その結果産業構造も大きく変化していくことが予想される。今後は、有力コンテンツの製造を行う事業者や有力コンテンツに関する権利を保有している事業者に大きく交渉力がシフトすることが考えられ、その結果生じるであろう産業構造が導かれた。
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Research Products
(7 results)