2003 Fiscal Year Annual Research Report
所有政策と資金配分からみた日本企業のグループ経営に関する実証研究
Project/Area Number |
15330076
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤野 哲也 長崎大学, 経済学部, 教授 (40264197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿萬 弘行 長崎大学, 経済学部, 助教授 (70346906)
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Keywords | 子会社公開 / 初期収益率 / 過小値付け / 親会社持ち株比率 / 情報の非対称性仮説 |
Research Abstract |
日本の企業グループ内の資金配分と所有権構造の問題に関する研究として、論文「子会社公開における初期収益率の実証分析」を金融システム研究会(千里ライフサイエンスセンター)において報告した。この報告論文は、新規株式公開(IPO)時点の初期収益率に着目して、所有権構造が初期収益率に与える影響を計量経済学的に分析したものである。従来から日本企業はグループ経営政策の一環として、その子会社を株式市場に上場することが一般的であった。子会社公開によって、親会社は保有株式の売却資金を得ることができると同時に、子会社は新たに株式を発行することによって新規の資金調達が可能となる。新規株式公開に関する多くの先行研究では、初期収益率(初値と公開価格の乖離率)が平均的に正値を示す「過小値付け」が一般的現象として観察されてきたため、この原因を解明することに多くの分析がなされてきた。通常のIPOの過小値付けに対する理論的説明には、投資家と発行企業との情報の非対称性仮説が有力である。当論文では、子会社公開という日本企業において比較的一般的な上場形態において所有権の大きさが過小値付けの程度にどのような効果をもつかという問題を実証分析している。情報の非対称性仮説に基づいた場合、親会社の所有権比率が大きければ、子会社に関する不確実性が低いと考えられるため、初期収益率は小さくなることが予想される。東京証券取引所に上場した子会社公開の事例をサンプルとした当論文の分析では、親会社による持ち株比率が高い場合、初期収益率は低下する傾向が確認された。これは情報の非対称性仮説と整合的な結果である。
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