2003 Fiscal Year Annual Research Report
技術系ベンチャー企業をめぐる知識の戦略的移転に関する理論的・実証的検討
Project/Area Number |
15330077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
桑田 耕太郎 東京都立大学, 経済学部, 教授 (50186558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 勅徳 沖縄大学, 法経学部, 専任講師 (70352482)
松嶋 登 東京都立大学, 経済学部, 講師 (10347263)
長瀬 勝彦 東京都立大学, 経済学部, 教授 (70237519)
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Keywords | 科学技術 / ベンチャー企業 / 制度 |
Research Abstract |
本年度の研究実績としては、ひとつは、ベンチャー企業をめぐる理論的基盤の整備を行ってきた。ベンチャー企業論は、1980年代後半から欧米において研究が着手されたが、これまでは無秩序に拡散・増大してきた傾向がある。そこで本研究では、まず、ベンチャー企業をめぐる研究領域の体系化を試み、学会誌へ投稿してきた。さらに、その中でも特に技術系ベンチャー企業に焦点を絞り、科学技術に関する社会科学的研究の知見を融合させた独自の理論枠組みとして、日本科学技術学会にて報告を行ってきた。 もうひとつは、具体的な観察対象に基づいた調査研究である。本年度は5社のベンチャー企業についてインテンシブなフィールド調査を行うことができた。具体的には、(1)医療業界(医師)から食品業界へ転向し、独自の技術を開発してきた株式会社キティー、(2)旧態依然としたゼネコン業界において独自のビジネスモデルを構築してきた明豊ファシリティワークス株式会社、(3)時代ごとに大企業におけるベンチャーメカニズムの利用方法を探索・変遷させてきた日本電気株式会社、(4)制度に働きかけることでベビーシッターと介護などの業界に新しい評価制度を作り上げてきた株式会社ポピンズコーポレーション、(5)制度の担い手による解釈の違いを見出し、追随する競合他社に対する参入障壁を築いてきた株式会社フリール、である。これらの研究調査はいずれもすでに研究業績として反映されているか、現在投稿中のものである。また、これらの研究成果は、本研究の研究機関である東京都立大学ビジネスクールの講義「ベンチャービジネス特別演習」においてケーススタディとして利用された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松嶋登: "『純粋な技術』の神話:技術系ベンチャーの創業を巡る技術ネットワークのマネジメント"テクノサイエンス的フィールド研究. Vol.9, No.2. 85-96 (2003)
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[Publications] 松嶋登, 高橋勅徳: "ハイテクベンチャーの創業プロセス:株式会社キティー"東京都立大学GBSリサーチペーパー. VB-2003-01. (2003)
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[Publications] 岩岡博徳, 小林廣徳, 安田彩子, (松嶋登監修): "ベンチャー企業のビジネス・モデル構築プロセスと組織コンピタンス:明豊ファシリティワークス"東京都立大学GBSリサーチペーパー. VB-2003-02. (2003)
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[Publications] 横尾良子, (桑田耕太郎, 松嶋登監修): "企業発ベンチャーを支える仕組みづくり:日本電気株式会社"東京都立大学GBSリサーチペーパー. VB-2003-03. (2003)
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[Publications] 山口みどり, (桑田耕太郎監修): "戦略的環境の制度化を通じた事業の創造:ポピンズコーポレーション"東京都立大学GBSリサーチペーパー. VB-2003-04. (2004)
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[Publications] 入江信一郎, 松嶋登: "ベンチャー企業による制度的障壁の克服:株式会社フリール"東京都立大学GBSリサーチペーパー. VB-2003-05. (2004)