2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15330096
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
山田 昌弘 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90191337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須長 史生 昭和大学, 教養部, 講師 (80349042)
谷本 奈穂 関西大学, 総合情報学部, 助教授 (90351494)
施 利平 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 助教授 (20369440)
羽渕 一代 弘前大学, 人文学部, 助教授 (70333474)
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Keywords | 夫婦関係 / 愛情 / 恋愛 / 離婚 / 別れ / 婚外交際 / セックスレス / コミュニケーション |
Research Abstract |
本年度は、研究の最終年度として、代表者、分担者、協力者が、前年までに集めたインタビュー・データ、質問紙調査のデータに基づき、各自、そして、共同で分析を進め、研究会を開いて相互の分析結果を検討した。 分析による知見は、主に三つにまとめられる。 一つは、日本の夫婦関係の現状に関してのものである。日本の夫婦関係において、40年前のデータとほとんど変わらず、共同行動は低調である。これは、セクシュアリティーに関してもいえる。しかし、共同行動が少なく、セックスレスだからといって、夫婦の関係性が希薄だと結論づけることはできない。信頼性や困ったときに助け合うなど、愛情を直接表現し合うこととは別の形での愛情関係が維持されうることが分かった。 次に、恋愛感情と結婚生活における愛情が分離している様相が観察された。意識において、恋愛感情と結婚を別立と意識している傾向が強まることが分かった。行動においても、カップルを壊すことなくカップル外の親密関係を作ることが相当数いることがわかる。 以上のように、近年の離婚急増を、「夫婦の愛情関係が変化した」という点に求めるという仮説は成り立たないように見える。むしろ、離婚や結婚をめぐる環境の変化によってもたらされた可能性が高い。 データでみてみると、離婚経験者には、配偶者への愛情表現や経済力(女性のみ)への高い期待が見られた。つまり、相手の能力以上のものを。愛情表現に関しては、その基準が高まったという仮説も成り立ち、今後の検証にまたねばならない。一方、経済力に関しては、近年の男性の雇用の不安定化によって、男性の経済力が落ちている。離婚相手の経済力に不満があったという女性の割合が高いことによっても裏付けられる。近年の離婚急増の一因は、経済状況の変化によってもたらされたものであり、少子化の原因とも重なるものであると結論できる。
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