2003 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者のQOL(生活の質)と地域生活支援に関する研究
Project/Area Number |
15330127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡田 まり 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (40309076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三品 桂子 花園大学, 社会福祉学部, 助教授 (50340469)
前田 信彦 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (20222284)
大山 博史 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (10340481)
岡田 進一 大阪市立大大学, 大学院・生活科学研究科, 講師 (20291601)
栄 セツコ 桃山学院大学, 社会学部, 講師 (40319596)
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Keywords | 精神障害 / 精神障害者 / 地域生活 / 生活の質(QOL) |
Research Abstract |
わが国の精神障害者の地域での生活実態を把握し、その特性や多様性を反映できる項目を含む調査票の素案を作成することを目標として、今年度は、文献レビューと質的調査を実施した。 質的調査は、精神障害者地域生活支援センター2ヶ所、精神障害者通所授産施設2ヶ所の計4箇所において、施設利用者および職員を対象として行った。利用者については、(1)日常生活の過ごし方、(2)QOLを改善するための要望や課題、(3)QOLが改善された経験をテーマとして、3〜8人の小グループ単位でフォーカスグループ・インタビューを実施した。インタビューは、事前に調査の主旨を文書および口頭で説明して調査協力の同意を示した人を対象とした。職員については、通所授産施設では3〜4人のフォーカスグループ・インタビューを、地域生活支援センターでは個別インタビューを実施し、利用者対象のグループインタビューのテーマに加えて、地域生活支援に関わる課題や実状などについて聴き取りを行った。 調査の結果、対象者の日常生活は、精神障害関連の狭い人間関係と活動領域に限定されたケースがある一方で、仕事や趣味などを通して地域の人々と様々なかたちで関わるケースがあり、多様な生活のあり方が見られた。要望として各グループで話題となったのは、生活の場(グループホーム等)、交通費、仕事・作業などの確保に関してである。また、障害者対象サービス(無料パスなど)を利用する際に、一般の人々からの偏見・差別を感じるという声が多く聞かれた。QOL改善の経験としては、施設利用により生活のリズムが整ったこと、友人や仲間ができたこと、作業や仕事を通して新しいことを学んだり達成感を得たことなどがあげられた。職員からは、組織運営や支援のあり方についての課題が提示された。 上記の調査結果に基づいて、精神障害者の生活実態とQOLを把握するための調査票の素案を作成した。今後は、調査票の妥当性・信頼性・実用性を改善し、精神障害者の状況を量的にもとらえるよう研究を継続する。
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