2005 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者のQOL(生活の質)と地域生活支援に関する研究
Project/Area Number |
15330127
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡田 まり 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40309076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栄 セツコ 桃山学院大学, 社会学部, 講師 (40319596)
前田 信彦 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20222284)
三品 桂子 花園大学, 社会学部, 助教授 (50340469)
岡田 進一 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (20291601)
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Keywords | 精神障害者 / QOL / 地域生活 / 生活支援 |
Research Abstract |
平成17年度は、二つの調査を実施した。まず、精神障害者のQOLの状況を把握するとともに、QOLに影響を及ぼす要因を明らかにするために、精神障害者の地域生活を支援する9施設を訪問し、調査協力に同意したサービス利用者を対象として、自記式質問紙を用いた集合調査を行った。自記式質問紙は、平成16年度より作成し、修正を重ねてきたものであり、本調査において信頼性・妥当性のある尺度であることが確認できた。有効回答者91名のデータで重回帰分析を行ったところ、生活満足度、希望、自己決定がQOLに有意に関連していることが明らかになった。また、大学生180名対象の同じ質問紙を使った調査の結果と比較すると、QOLおよびQOL関連要因の得点すべてについて、精神障害者の方が有意に低かった。 次に、QOL向上の具体的なきっかけやプロセスを明らかにするために、精神障害者を支援する施設およびピアグループ等、計11カ所を訪問して精神障害者および専門職に面接調査を行い、望ましい変化がみられた45事例を収集した。それらの事例を分析した結果、望ましい変化は、施設利用や年金受給など社会資源の活用、服薬など医療サービスの利用、仕事やサークル活動・ピア活動、専門職や仲間・友人らとの関係などがかかわっていることが明らかになった。また、支援者からの関わりとしては、当事者・家族の思いを傾聴し共感すること、当事者の興味関心を尊重して体験や活動に結びつけ、意欲や希望、自信をもてるようにすること、活動経験拡大ための仕組みづくりや環境の調整などが望ましい変化のきっかけや支えになったとみられた。 これらの結果から、精神障害者のQOL向上のための取り組みが必要であり、希望をもって主体的に生活でき、自己決定が尊重されるように、個別の支援と環境への働きかけが重要であると結論づけた。そしてサービス提供のあり方について提言を行った。
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