2003 Fiscal Year Annual Research Report
公共事業政策の評価と合意形成の社会心理学的研究―手続き的公正理論の応用―
Project/Area Number |
15330132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大渕 憲一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70116151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今在 慶一朗 東北大学, 大学院・文学研究科, 助手 (40359500)
福野 光輝 北海学園大学, 経営学部, 講師 (30333769)
青木 俊明 東北工業大学, 工学部, 講師 (60302072)
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Keywords | 合意形成 / 公共事業 / 政策評価 / 手続き的公正 / 紛争解決 / 社会調査 |
Research Abstract |
近年、国の公共事業に対して国民の間には否定的な態度が強まっている。しかし多くの国民は公共事業に対して単純に反対しているだけではない。それが国民生活を豊かにし、また経済の活性化をもたらす上で有益であることは認めながら、事業計画の立案やその実施に伴って生じる負の要因が無視できないと感じている。公共事業が今後とも必要なものであるなら、そうした負の要因をいかに除去するかが肝要であろう。そこで本研究ではシナリオ実験と社会調査法によって国民が感じているこうした負の要因とその発生原因を明らかにし、公共事業に対する国民の評価と態度の仕組みを探ることを試みた。負の要因が発生する原因として我々は2つの問題を仮定した。第1は、甘い需要予測、国家財政の圧迫、地域間のアンバランスなど事業政策自体が持つ問題で、これは官庁間の対立、事業計画の硬直性、政治家・業界・地域などからの直接間接の圧力などによって政策形成過程が歪められることによって起こると考えられる。第2の問題は公共事業によって引き起こされる地域紛争で、国全体の利便性のために一部地域住民が犠牲になるなど地域間での利益・コストの配分に偏りを生じる結果生じるものである。こうした負の要因を適切に除去することができれば、公共事業の利益面を国民はもっと肯定的に評価することができると思われる。第2の問題については、事業担当者の地域での説明行動に焦点を当て、大学生と社会人387名を対象にシナリオ実験を行い、情報開示と丁寧な態度が手続的公正感を高めることを確認した。更に、公共事業関連の負の要因とその解決策に関する国民の認知を検討するために、地域的偏りが生じないように全国の16の市町村において選挙人名簿に基づいて成人4,000人を任意抽出し、郵送調査によって検討を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Fukuno, Mitsuteru, Ohbuchi, ken-ichi: "Procedural fairness in ultimatum bargaining : Effects of interactional fairness"Japanese Psychological Research. 45・3. 152-161 (2003)
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[Publications] 青木俊明, 鈴木 温, 西野 仁, 八田武俊: "公共事業の一般的イメージと行政への信頼"建設マネジメント研究論文集. 10. 225-232 (2003)
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[Publications] 青木俊明, 西野 仁, 松井健一, 鈴木 温: "公共事業に対する情報提供と態度形成"土木学会論文集. 737. 223-235 (2003)
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[Publications] 大渕憲一: "日本人の公正観:公正は個人と社会を結ぶ絆か?"現代図書. 356 (2004)