2005 Fiscal Year Annual Research Report
公共事業政策の評価と合意形成の社会心理学的研究-手続き的公正理論の応用-
Project/Area Number |
15330132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大渕 憲一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70116151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 俊明 東北工業大学, 工学部, 助教授 (60302072)
福野 光輝 北海学園大学, 経営学部, 助教授 (30333769)
木村 邦博 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80202042)
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Keywords | 公共事業 / 政策評価 / 手続き的公正 / 合意形成 / 紛争解決 / 信頼 / 政府 / 絆理論 |
Research Abstract |
昨年度までの調査データの解析を試みた。全国を大都市、地方都市、郡部の3領域にわけ、偏りがないように15地域を選抜した上で、その市町の選挙人名簿を元に、成人3,000名を無作為抽出して調査票を送付したところ、772名から回答を得た。この調査は、社会的公正感、政府に対する信頼、公共事業政策に対する評価などを測定したもので、回答に基づいてそれら変数間の関係を分析した。まず、日本社会に対する公正感、政府に対する信頼、公共事業政策などに対する評価は全体として厳しいものであった。また、公共事業政策評価は、事業そのものの評価と事業主体である行政の評価に分かれること、前者に関しては肯定的評価と否定的評価が独立性の高い別次元となることなどが見いだされた。 また、政府に対して一般的信頼を持たない回答者ほど、公共事業政策をあらゆる面で否定的に評価する傾向が見られ、このことは、人々が政府に対する判断をもとに、公共事業政策の評価を行っていること、即ち、ヒューリステックな認知過程を示唆している。また、政府に対する一般的信頼は、ミクロ、マクロ、地域、職業の4水準における社会的公正感によって強められることも確認された。このことは、社会集団内において自分が公正に扱われていると感じると、集団の権威者(例えば、政府)に対して肯定的態度が形成されることを仮定する公正の絆理論を支持するものであった。本年は、この解析結果を受けて、更に、公共事業に対する評価の観点が国と地域に対する人々の態度によってどのように影響されるかを探るために、地域的偏りが生じないよう、やはり全国から16の市町村を選択し、選挙人名簿に基づいて成人3,000人を任意抽出して、郵送調査による検討を進めている。
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Research Products
(5 results)