2006 Fiscal Year Annual Research Report
公共事業政策の評価と合意形成の社会心理学的研究-手続き的公正理論の応用-
Project/Area Number |
15330132
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大渕 憲一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70116151)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 俊明 東北工業大学, 工学部, 助教授 (60302072)
福野 光輝 北海学園大学, 経営学部, 助教授 (30333769)
木村 邦博 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80202042)
|
Keywords | 公共事業 / 政策評価 / 手続き的公正 / 合意形成 / 紛争解決 / 信頼 / 政府 / 絆理論 |
Research Abstract |
前年度(2006年)に実施した一般市民を対象に行った公共受容調査に2004年のデータを加え、比較を行いながら解析を行った。回答者数は1088名と814名である。その結果、現在の公共事業に対する満足度は低く、全般的に回答者は批判的な態度を持っていた。批判的な態度は民主党や共産党の支持者、40〜60代、比較的高収入の人、都市部居住者などにおいて強く、一方、自民党支持者、若年や低収入の人、地方居住者の問では公共事業に対して好意的だった。こうした違いは、政治的信条だけでなく、回答者が置かれている境遇や社会的役割、所属する階層の違いなどによるものと思われる。即ち、公共事業によって直接・間接に事業利益が期待される事業主たち、事業による利便性を享受しうる地域の人たちは公共事業政策に対して好意的だが、税負担など公共事業の負担を主に担う人たちは非好意的だった。公共事業政策の公共受容はその政策評価(公共評価)に依存すると我々は仮定し、評価を意思決定と結果の2領域に分けて、これを測定する項目を作成した。因子分析結果はほぼ我々の仮定に合致し、意思決定領域では行政優先、住民優先、手続き的公正の3次元が、結果領域では事業利益、住民弊害、広域弊害、分配的公正の4次元が得られた。回帰分析の結果、行政優先と事業利益は現在の公共事業政策に対する満足度を高め、手続き的公正と広域弊害はこれを低下させた。事業に伴う利益とコストのどちらを重視するかが満足度を左右したのは当然として、手続き的公正を重視する回答者たちの間で事業満足度が低かったことは、現在の公共事業政策の決定過程が不明朗であるという批判が根強くあることを示唆している。2004年よりも2006年の調査回答者の方が公共事業に対して好意的だったことは、この間、小泉内閣によって実現された公共事業関連の改革(郵政民営化、道路公団改革)が国民の間で一定の評価を得ていることを反映したものと解釈される。
|
Research Products
(6 results)