2003 Fiscal Year Annual Research Report
我が国の組織において成果主義による評価が効果を上げ得る条件の心理学的研究
Project/Area Number |
15330135
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古川 久敬 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30190143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 堅一郎 日本大学, 大学院・総合社会情報研究科, 助教授 (80212033)
山口 裕幸 九州大学, 人間環境学研究院, 助教授 (50243449)
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Keywords | 成果主義 / モチベーション / 目標設定 / チーム / 意識覚醒度 / 業績 |
Research Abstract |
1 成果主義の持つ評価原理とその影響について理論的に整理した。 (1)我が国の成果主義が持つ評価原理とその効果を検討する上で、「目標設定段階」と「業績評価段階」に分けた。前者では「結果重視vs.プロセス重視」、「目標達成車視vs.学習重視」、「長期考慮vs.短期考慮」などが、後者では「課題業績vs.文脈的業績」や「ルーティン遂行度vs.挑戦遂行度」が関係する。また、成員に対する「評価原理の公開性」や「評価による処遇の格差づけ」の有無にも注目した。 (2)これらの原理が、人的資源要因(モチベーション、能力、対人関係)、課題業績、および文脈的業績に及ぼす影響について、米国の研究知見も参考として理論的に整理をし、論文を雑誌「組織科学」に掲載した。 2 「文脈的業績」の概念およびその測度の開発について検討した。 新たに「文脈的業績」を取り上げる。これは従来の課題業績とは対比的で、自己の課題や役割を越えて組織内外の状況に適切に対応することらより生まれる。概念を明確にし、従来の組織市民行動の測度を参考にしつつ、その測度を開発するための文献調査を実施した。対人関係の雰囲気作り、革新指向性、経営課題の認識度など広範な文脈的要素も採り入れる必要性があることを明らかにした。 3 目標管理制度を導入している企業の成員を対象とする調査研究を行った。 目標の設定が、成員の努力点の明確化と他者存在の意識化を、どのくらい生み出すかについて分析を行った。またその覚醒にとって上司の指導性の効果についても検討した。さらには、これらの意識覚醒が、成員の行動習慣および業績(自己評定および上司評定)に及ぼす効果についても分析検討を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 古川久敬: "目標による管理の新たな展開 -モチベーション、学習、チームワークの観点から"組織科学. 37巻1号. 10-22 (2003)
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[Publications] 田中堅一郎: "文脈的業績に関する心理学的研究の展望"日本大学大学院 総合社会情報研究科紀要. 第4号. 239-245 (2004)
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[Publications] 古川久敬: "チームマネジメント"日本経済新聞社. 196 (2004)