2004 Fiscal Year Annual Research Report
縦断調査による共同注意行動の標準化とその臨床適用に関する研究
Project/Area Number |
15330142
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大神 英裕 九州大学, 大学院・人間環境学院, 教授 (20020141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 博之 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (00037037)
南 博文 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (20192362)
中村 知靖 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (30251614)
板倉 昭二 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50211735)
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Keywords | 共同注意 / 乳幼児 / 定型発達過程 / 標準化 / 縦断研究 / 共分散構造分析 / 発達障害 / 初期予兆 |
Research Abstract |
乳幼児期における共同注意研究は健常な乳幼児期における心が社会的な適応行動を生み出す過程の理解を深めるだけでなく、その個人差検討の一環として発達障害児の早期スクリーニング法の開発や発達援助の効果評価にも大きな貢献するものと期待される。本研究では、共同注意行動の出現時期を明確にするために大規模標本を用いて横断/縦断調査を実施した。2000年9月から開始した縦断調査の標本数がさらに更新され、2002年10月現在で実人数(1526人)、累積総数(6719人)になったので、標準化手続きを実施して、縦断データを分析した。 月齢クラスター分析や共分散構造分析を行ったところ、共同注意の発達過程は奇跡の9ヶ月と呼ばれる時期から急速に発達し生後18ヶ月までには共同注意は獲得されていることがわかった。そして、この共同注意の崖(cliff)には少なくとも4つの段階があり、かつ、それらは因果的な発達連鎖を持っていることが示唆される。つまり、最初の段階は、視線の後追いに見られるように乳児が養育者の意図感じ取り、その注意を追従する段階である。第二の段階は、単純な動作模倣や物の手渡しなど、他者の行動の追従を示す段階である。この二つのプロセスを経てようやく他者の注意を操作するために乳児自らが指さしの産出を行う段階を迎える。そして、最後にはシンボル(ことば)の形成や他者の苦痛への反応などを示す段階に至っている。指さしの産出はことばの起源と捉える研究者は多く、意味するものと意味されるものは幼児と大人の間で共有体験を介して語用論的に獲得すると考えられるからである。こうした体験は必然的に他者の情動状態を感じ取り、心配そうな表情を示し、慰めやいたわり行動を示すことにつながると考えられる。 また、こうした定型発達過程を辿らない発達障害ハイリスク乳幼児については確定診断と併せて、現在慎重に検討中である。
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Research Products
(6 results)