2005 Fiscal Year Annual Research Report
縦断調査による共同注意行動の標準化とその臨床適用に関する研究
Project/Area Number |
15330142
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大神 英裕 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20020141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 博文 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20192362)
中村 知靖 九州大学, 人間環境学研究院, 助教授 (30251614)
大野 博之 福岡女学院大学, 人間関係学部, 教授 (00037037)
板倉 昭二 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50211735)
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Keywords | 乳幼児 / 共同注意 / 縦断調査 / 標準化 / 広汎性発達障害 / 初期兆候 / 臨床応用 |
Research Abstract |
共同注意を軸とした社会的認知の発達過程の解明とその臨床応用の道を探ることが本研究の主たる目的である。 そのため、福岡県糸島地区(1市2町)の出生児1000名/年を対象にして8-18ヶ月まで2ヶ月間隔で6回縦断調査(第一次スクリーニング)してきた。こうしたデータベースを基に、これらの調査対象児が36ヶ月および60ヶ月に達した時点でそれぞれに新しい第二次と第三次スクリーニングテストを実施した。60ヶ月(5歳)については今年度末まで時間を要するが、現在までの主な結果は下記に示すとおりである。 (1)共同注意行動は9ヶ月頃から急速に発達し18ヶ月までには全て獲得される。その詳細は標準化表を参照のこと。(科研報告書平成:17年3月) (2)8-18ヶ月の共同注意の発達過程は共分散構造分析の結果、すくなくとも、(1)他者の注意の追従、(2)他者の行動の追従、(3)他者の注意の操作、(4)シンボル形成、の4段階があることが分かった。 (3)3歳児健診(第二次スクリーニング)で発達障害の疑いが示唆された子供たちの中で、ことに自閉症やアスペルガーと診断された9名の18ヶ月時点での共通特徴(初期兆候)を抽出した。それは、歩行など移動運動には何の問題も見られないが、叙述の指さし、応答の指さし、他者の苦痛の理解、有意味語が欠如していることである。 (4)生後8ヶ月から60ヶ月(5歳)まで3種類のスクリーニングテストが完了した150名について、項目反応理論に基づく分析を実施したところ、定型発達児はそのコミュニケーションに関する能力値は加齢とともに右肩上がりで漸増するが、広汎性発達障害児は14ヶ月頃から、次第に遅れが目立ってくることが分かった。 本研究の成果は、乳幼児期における社会的認知の発達過程と発達障害児の早期発見・早期対応に大きな貢献をなすものと考えられる。
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Research Products
(3 results)