2004 Fiscal Year Annual Research Report
社会変動と家族・自己・ジェンダーに関する文化・発達心理学的研究
Project/Area Number |
15330143
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
柏木 惠子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (10086324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代文化学部, 助教授 (60255940)
下條 英子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (30231137)
永久 ひさ子 文京学院大学, 人間学部, 専任講師 (90297052)
渡邊 惠子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (00000068)
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Keywords | 社会変動 / 家族 / 夫婦 / ジェンダー / 主観的幸福感 / アイデンティティ / 夫婦間コミュニケーション / 個人化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1)育児期から子育て終了までの女性を対象とし、親子・夫婦間の資源移動と現在の資源配分、夫婦間の衡平性、満足・幸福感(well-being)について実証的に検討すること、2)日本における家族間での資源移動、家族内の資源の変化により、満足感・幸福感がどのように変化するかを文化心理学的視点から検討することである。 今年度は、前年度行った検索的、多角的総合的検討により有意味と推定される属性、地域、性、年齢、学歴、社会的地位・役割をとりあげた予備調査に基づき、(1)定年退職後の夫婦に焦点をあてた個別的深層面接調査と、質問紙調査を行った。定年退職という人生転換期、家庭内の資源変化に着目した。男性102名、女性76名のデータを得た。次の3要因、a「経済性と生活満足感」b「結婚、家族、主観的幸福感」c「夫婦間コミュニケーション」の結果を報告する。「経済性と生活満足度」を40代の頃と現在、そして10年後を予想して聞いたところ、「経済性自己評価」では、男女ともに40代の頃よりも現在の方が豊かであると回答しており、「生活満足度」は、40代の頃の方が現在、また10年後(予想)よりも満足と答えていた。「財布のひも」=経済主導を夫、妻どちらが持っているかを40代と現在(退職後)と比較して聞いたところ、退職後に男性主導が多くなっていた。「結婚、家族、主観的幸福感」は、「主観的降伏」「肯定的感情」「満足感」の因子で男女に差はみられなかったが、「否定的感情」「不満足感」は、女性のほうが男性よりも高く、「離婚願望」も女性のほうが男性よりも有意に高かった。「夫婦間コミュニケーション」は、女性のほうが男性よりも高く、「離婚願望」も女性のほうが男性よりも有意に高かった。「夫婦間コミュニケーション」は、先行研究(平山・柏木2001)に基づき「威圧」「共感」「接近」「無視」の4因子で分析したところ、コミュニケーションに40代と現在を比較して変化があったのは、「共感」で音は妻の共感が増えたと捉えていること、「無視」で妻が夫の無視が増えたと回答していることであった。 次に(2)育児期から子育て終了までの女性の質問紙調査を行った。339名の回答が得られた。年齢分布は、26歳から63歳まで、平均年齢42.7歳であった。全体の82%が既婚者で91%に1人以上の子どもがいた。学歴は、中学・高校卒21%、短大専門卒36%、大学大学院卒43%、職業は、常勤自営業28%、無職33%、パート40%であった。a「生き方への評価的感情」尺度から、I結婚満足度、II人間的成長、III個の希薄、IV母親としての満足の4因子が抽出され、b「動機の志向性」尺度から、I社会的職業的志向性、II家庭志向の2因子、c「資源配分」尺度から、I資源配分の個人化、II子育てに(直接的)資源配分、III教育に資源配分(子育てに間接的資源配分)の3因子が抽出された。現在、因子の命名の検討、社会的属性比較など分析を行っている。
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Research Products
(1 results)