2004 Fiscal Year Annual Research Report
パニック障害に対する認知行動療法プログラムの開発とその効果の実証的検討
Project/Area Number |
15330150
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
坂野 雄二 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (10134339)
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Keywords | 認知行動療法 / パニック障害 / 治療研究 |
Research Abstract |
目的:昨年度作成された広場恐怖を伴うパニック障害に対する10セッションからなる標準認知行動療法プログラムについて,統制群との比較においてその効果を検討する. 方法:地方都市部に在住するDSM-IV-TRの診断基準を満たす広場恐怖を伴うパニック障害患者女性16名(平均年齢:30.5±7.2歳)を対象として,SSRIまたは三環系抗うつ剤,ベンゾジアゼピン系抗不安薬による薬物療法(従来治療TAU)に加え,昨年度の研究から得られた10セッションからなる標準的認知行動療法プログラムを実施した(CBT群).1セッションあたりの所要時間は約50分で,心理教育(第1〜2セッション),不安階層表の作成(第2セッション)身体反応の修正(第3セッション以降),エクスポージャー(第4セッション以降),不安管理訓練(第5セッション以降)等の要素から成り立っている.一方,地方都市部に在住するDSM-IV-TRの診断基準を満たす広場恐怖を伴うパニック障害患者女性8名(平均年齢:31.6±8.3歳)をウェイティングリスト統制群(WLC群)とし,CBT導入までの待機期間を統制期間とし,CBT群と同様のTAUが実施された.治療後の病態を両群で比較した. 結果と考察:認知行動療法プログラムを行った患者は,統制群の患者に比べ,治療後に,(1)STAI-Sの得点が減少し,不安の低下が認められる,(2)PDSSの得点が減少し,パニック障害の改善が認められる,(3)GAFの得点が増加し,心理的,社会的,職業的機能の向上が認められる,(4)空間恐怖的回避の重症度の減少が大きい,(5)直近4週間のパニック発作頻度が減少する,(6)抑うつ得点には変化が認められない,という結果が得られた.抑うつ傾向を除き,今回用いられた治療プログラムは広場恐怖を伴うパニック障害の治療に有効であった.しかしながら,パニック障害との併発率が高いと指摘されている抑うつ反応の改善のためには,今後プログラムの修正も必要であると判断された.
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