Research Abstract |
これまで,運動視,両眼立体視モジュール,テクスチャ視の研究において,輪郭生成の問題は副次的な話題として扱われ本格的な検討は行われてきていない.しかし,視覚系の最重要な任務の一つである,環境,対象物の認識という観点からは,奥行き,運動の評価,認識よりも,領域分割,輪郭生成という側面はテクスチャ視,運動視,両眼立体視モジュールの中心的な任務であると見ることも出来る.本研究では,そうした,領域分割,輪郭生成のプロセスを正面から検討しようという大胆な試みである. 平成15年度は,そうした輪郭の知覚特性,とりわけその時間的側面を心理実験,誘発電位実験によって検討するための研究環境整備,手法の基礎検討を実施した.とりわけ,運動,テクスチャに関する心理物理実験のための刺激,測定手法の検討を進め,刺激提示,実験実施のためのプログラムの開発を進め,予備実験を実施した.とりわけ,テクスチャーによる領域分割に関しては,ガボールパターンを構成要素とするテクスチャーパターンを用いた実験を実施し,領域分割の空間周波数,時間周波数側面に関して詳細な検討を行った. さらに,誘発電位実験のため,新しい脳波記録装置を導入し,運動,両眼視差刺激による領域分割,輪郭生成にかかわる誘発電位実験のための刺激,手法の検討,プログラム開発を行った.また,そうした新たな実験環境,刺激を用いて予備実験を実施し,視差(DRDS),運動(RDK)刺激に対しても輝度パターンに対してJeofreeら輪郭知覚との関連を指摘した,C1,C2,C3と呼ばれる成分と類似の成分を同定できることを確認した.
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