Research Abstract |
これまで,運動視,両眼立体視モジュール,テクスチャ視の研究において,輪郭生成の問題は副次的な話題として扱われ本格的な検討は行われてきていない.しかし,視覚系の最重要な任務の一つである,環境,対象物の認識という観点からは,奥行き,運動の評価認識よりも,領域分割,輪郭生成という側面はテクスチャ視,運動視両眼立体視モジュールの中心的な任務であると見ることも出来る.本研究では,そうした領域分割,輪郭生成のプロセスを正面から検討しようという大胆な試みである. 平成16年度は,そうした輪郭の知覚特性,とりわけその時間的側面に関して,昨年度整備,検討を進めた研究環境,手法を用い,心理実験,誘発電位実験の両側面にわたる検討を進めた.心理物理実験では,テクスチャーによる領域分割に関し,昨年度に引き続きガボールパターンを構成要素とするテクスチャーパターンを用いた実験を実施し,領域分割の時間条件に関する詳細な検討を進めた.さらに両眼立体視の成立の時間要因に関する検討も進めた.誘発電位に関しては,運動,両眼視差刺激による領域分割,輪郭生成にかかわる誘発電位実験を実施し,視差(DRDS),運動(RDK)刺激に対する,C1,C2,C3成分の生成に関し,主としてパターンの空間周波数成分,時間周波数成分の効果に着目し,詳細な刺激条件分析を進めた.
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