2005 Fiscal Year Annual Research Report
視覚と聴覚による奥行運動の処理メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
15330157
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
市原 茂 首都大学東京, 都市教養学部人文・社会系, 教授 (90137018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久津 洋巳 岩手大学, 教育学部, 助教授 (10374860)
田中 吉史 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 講師 (90285073)
北川 智利 日本電信電話(株), NTTコミュニケーション科学基礎研究所, リサーチアソシエイト (60336500)
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Keywords | 感覚間相互作用 / 視覚 / 聴覚 / 触覚 / 注意の範囲 / 渦巻き残効 / 奥行き運動残効 |
Research Abstract |
本研究では、人間の空間知覚、運動知覚の処理メカニズムを視覚の側面からだけでなく、聴覚や触覚など、他の感覚の側面からも明らかにしようという目的で、様々な精神物理学的な実験を行った。まず、視覚と聴覚の相互作用についての研究として、聴覚による妨害刺激が視覚の注意の範囲に及ぼす効果についての実験を行った。ランダムな位置に配置された複数のドットを短時間呈示し、その個数を当てさせる課題である。その課題を行うときに、聴覚妨害刺激を与え、その妨害刺激が正答率に及ぼす影響について検討した。聴覚刺激は、様々な問題を男の声と女の声で読み上げ、その問題に対する解答を求める条件と、読み上げる声が男の声か女の声かを答えさせる条件とで、認知的な処理の深さが視覚の注意の範囲に及ぼす効果について検討した。その結果、聴覚妨害刺激が注意の範囲に影響を及ぼすことはないことが確認された。次に、渦巻き残効の実験を行った。回転する渦巻きを長時間観察すると、奥行運動残効が生じるが、一方で、回転残効も生じることから、順応刺激の回転速度と残効の現われの関係について検討した。その結果、順応刺激の回転速度が速い方が奥行運動残効が強く生じること。一方、回転残効運動については、順応刺激の回転速度が速くなっても残効が強まるということはなかった。このことから、2つの残効運動には脳のそれぞれ独立したユニットが関係している可能性が示唆された。最後に、聴覚と触覚の相互作用について検討した。ダミーヘッドの左耳にマイクロフォンを挿入し、その左耳を筆でくすぐり、その音を録音する。この音をヘッドホンで(耳のそばで)聞くと、被験者は、くすぐったさを感じたが、一方、その音を離れたスピーカーで聞いた場合には、くすぐったさは生じなかった。触覚と聴覚の相互作用に、両者の空間的な距離が関係することがわかった。
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Research Products
(4 results)