2004 Fiscal Year Annual Research Report
顔・表情応答脳電位を用いた対人認知処理の時間特性に関する研究
Project/Area Number |
15330158
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
沖田 庸嵩 札幌学院大学, 社会情報学部, 教授 (70068542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今塩屋 隼男 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (30044952)
小西 賢三 吉備国際大学, 社会福祉学部, 教授 (60068583)
橋本 忠行 札幌学院大学, 人文学部, 講師 (80320000)
立花 久大 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80124949)
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Keywords | 事象関連電位 / 顔 / 視線 / 作業記憶 / 自閉症 |
Research Abstract |
1.視線移動応答脳電位における表情の影響 他者の注視方向や表情の読み取りは社会的な関わりにおいて重要である.近年の研究では上側頭溝が視線方向や表情など顔の動的情報の処理領域として報告され,その脳内処理活動は頭皮上後側頭部の右側優位にN170電位として観察される.そこで,視線移動に応答する脳電位変化N170が表情変化N170によって影響されるのかを検討し,視線方向分析と表情分析の並列的独立性を探った.結果は視線移動と表情変化が同時に生じた場合も視線移動のみのN170と表情変化のみのN170が加算された形で観察されず,N170指標でみるかぎり独立性は見出せなかった. 2.作業記憶探索との関わり 人の顔と花,漢字と花を組み合わせ,それぞれ無作為に凝視点の左右に配置して,異なる組合せを順次提示した.顔課題では標的として1人または2人の顔を,漢字課題では1つまたは2つの読みを指定した.両課題とも,探索が要請された刺激に緩徐な陰性電位が後側頭部に発達した.その発達は刺激視野と反対側の半球で後側頭部優勢なN180頂点の直後に始まり,同側半球よりも約50ms早かった.その後,顔課題遂行時の緩徐陰性電位は記憶セットに応じて持続時間が延長し,作業記憶探索は刺激視野と反対側の後側頭部で早く始まることを認めた. 3.視線移動に伴う関係性逸脱 自閉症児・者は視線から他者の心の読み取りが困難といわれる.この特徴を調べる対人認知電位測定法を開発する目的で,刺激人物が(1)単によく見る方向(左右)を判断する条件と(2)何(例えば,バナナ・リンゴ)をよく見るか判断させる条件を設けた.結果,条件1の稀に生ずる視線変化には頭頂部P300増強,条件2の稀にしか見ないものに視線移動した場合(関係性逸脱)には後側頭部N170増強とCz・Pz優勢なN220がみられ,関係性把握の検査開発の基礎を得た.
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