2005 Fiscal Year Annual Research Report
進出色・後退色研究の新たな展開:軸上色収差説を修正して複活させる
Project/Area Number |
15330159
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北岡 明佳 立命館大学, 文学部, 助教授 (70234234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗木 一郎 NTTコミュニケーション基礎科学研究所, 人間情報研究部, 研究員 (80282838)
蘆田 宏 京都大学, 文学研究科, 助教授 (20293847)
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Keywords | 色立体視 / 色収差 / 両眼立体視 / 色の錯視 / 進出色・後退色 / 個人差 / 動く錯視 / 瞳孔 |
Research Abstract |
色立体視における我々の修正軸上色収差説を証明するための研究の一環として、関連する錯視の研究を行った。 (1)眼鏡依存色収差錯視 たとえばマゼンタ色の光は赤と青の光からできているわけであるが、マゼンタ色の刺激を見ても、色収差があるはずなのに赤や青がはみ出して見えることはない。知覚上それに気が付かないのは、脳が補正しているためと考えるのが妥当である。その脳の補正を出し抜いた錯視として、眼鏡依存色収差錯視を発見した(当研究の研究成果報告書の図12)。 近眼で眼鏡をかけている人は、顔を右に向けて目は左でこの図を見ると、上半分のそれぞれの黒の正方形の左側は鮮やかな水色、右側は黄色(あるいはオレンジ色)に見える。この時、下半分の正方形の両側は緑色に見える。顔を左に向けた場合は、下半分のそれぞれの黒の正方形の左側は鮮やかな黄色(あるいはオレンジ色)、右側は水色に見える。この時、上半分の正方形の両側は緑色に見える。遠視あるいは老視の眼鏡をかけている人は、これらが逆に見える。これは眼鏡の端は光学的にはプリズムと同じであることから、脳の補正範囲を超えた色ズレを起こしたものと考えられる。眼鏡をかけていない人は、普通のプリズムを使って、同じ効果を見ることができる。 (2)線がずれて見える錯視 色収差を見るのに簡単な方法を発見した。当研究の研究成果報告書の図14のような刺激図がそれで、色収差に応じて一直線上に描かれた線がずれて見える。赤の正方形上に引かれた青線は、赤の輝度が青の輝度よりも高いので、みかけの位置は赤の色収差が優先となる。一方、緑の正方形上に引かれた青線は、緑の輝度が青の輝度よりも高いので、みかけの位置は緑の色収差が優先となる。そのため、引かれた線は青であるが、この線のみかけの位置は赤と緑の色収差の違いで決まるためと考えられる。 この図を見ると、人によっては縦方向にも色収差があることがわかる(横線がズレて見える)。これは、軸外収差説では説明できず、重心説で説明できる現象である。
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Research Products
(6 results)