2004 Fiscal Year Annual Research Report
「総合的な学習の時間」導入による学校文化・教師文化の変容に関する実証的研究
Project/Area Number |
15330178
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
紅林 伸幸 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (40262068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 康詞 信州大学, 教育学部, 助教授 (80242105)
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Keywords | 総合的な学習の時間 / 教育改革 / 学校文化 / 教師文化 / 質問紙調査報告 / 学校の自律性 |
Research Abstract |
平成16年度の研究は、地方2件を対象として実施した質問紙調査「学校教育の現状と課題に関する調査」の結果の集計分析とその報告が中心となった。その要点は以下のようなあるである。 学校とそこでの教育の大きな転換の中で始まった「総合的な学習の時間」は、学校教育を縛ってきた多くの既存の構造や枠組みを崩し、変化を促進する機能を果たしている。けれども、「総合的な学習の時間」が越えなかった学校教育の構造や枠組みがあることも確認される。 第一に、中学校の「総合的な学習の時間」は教科の壁を越えなかった。第二に、小学校は教師-児童という枠組みを壊さなかった。第三に、学校は平等主義を排さなかった。すべての子どもに同じ力をつけたい、同じ学習をさせたいという平等主義は、個別化が進む中でもしっかりと保持されている。 以上の3点は、今期の教育改革の中で変わることが許容推奨されているにもかかわらず、学校が変わることを選択しなかった変化である。学校は様々な変化を許容されている中で主体的・自律的に可能な変化を選択しているのである。 現状において、「総合的な学習の時間」の成否は、教師の取り組みの如何に関わっている。教師が十全とそれをなし得るためには、教師の仕事量を減らす等の措置や教師を支援する体制の整備が求められている。また、やりたい実践があっても、安全面での問題が解決せずに実施できない、予算がないために実施できないケースは、想像以上に多く、深刻な問題となっている。人的、物的、予算的な支援の充実は、精神的なサポートとともに、各学校が自律的に「総合的な学習の時間」の実践を充実させていく上で不可欠な条件整備なのである。
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Research Products
(5 results)