2004 Fiscal Year Annual Research Report
大正末期から昭和初期における「作問中心の算術教育」実践に関する史的研究
Project/Area Number |
15330191
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植田 敦三 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50168621)
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Keywords | 作問中心の算術教育 / 作問主義算術教育 / 清水甚吾 |
Research Abstract |
本研究は、大正末期から昭和初期にかけて主張されたさまざまな算術教育思潮および算術教育実践が、互いの中に共通する足場を見いだし、生活算術として統合されていく過程で、奈良女子高等師範学校附属小学校の「作問中心の算術教育」が果たした役割を明らかにすることを目的としている。具体的には、以下の3点を明らかにすることを目的としている。 (1)当時の主要な算術教育思潮と「作問中心の算術教育」との間の関連性を考察する。 (2)当時の各県の教育会誌に掲載されている算術教育実践を収集、分析することを通して、算術教育実践に「作問中心の算術教育」が及ぼした影響の内実を同定する。 (3)上述した手順を通して明らかにすることができるであろう奈良女子高等師範学校附属小学校の「作問中心の算術教育」の普及過程の実際を通して、「作問中心の算術教育」が生活算術の形成に果たした役割を明らかにする。 本年度は、昨年実施した各県の教育会誌に掲載されている算術教育に関する実践を継続して収集した。また、初等教育研究会編「教育研究」に掲載されている算術教育に関する論説を収集、分析した。また、生活算術として位置づけられている藤原安治郎、稲次静一の算術教育論における作問の位置について考察した。 藤原においては作問中心の算術教育の基本的枠組みを受け入れながらも、算術書による系統と作問による系統との間の実践的課題を解決する方策として作問を労作的方法として位置づけようとしていた。また、稲次は清水が取り組んだ算術の新系統の構想に賛同していた。また、藤原、稲次の算術教育教育論においては、作問は一般化と特殊化(数理化と生活化)という文脈の中に位置づけられている。この位置づけは、作問が数学的活動の中に正当な場を見いだす上で重要な意味を持つものである。
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Research Products
(1 results)