Research Abstract |
代表者は,吉田正章(九大)との共同研究により,セルバーグ型積分の被積分函数の指数が退化している場合(共鳴状態)のホモロジーの挙動を調べ,正則化可能サイクルの空間の次元が重要な意味をもつことを見抜き,あるセルバーグ型積分の場合に,正則化可能とはならないサイクルを具体的に構成することにより,正則化可能サイクルの次元を具体的に求めた.そこで現れた次元公式は一般化超幾何級数3F2により表示され,パラメータを特殊なものにすれば,二項係数の差に退化するものである.これは土屋・蟹江により共形場理論から計算され,さらに代表者がホモロジーの上で構成した,岩堀・ヘッケ環の既約なホモロジカル表現の次元に一致しており,代数系の表現空間が正則化可能サイクルの空間と一致することが分かった.このことは表現論と(コ)ホモロジー論の関係において新しい側面を指摘した貴重な一歩であると考えたい. また,分担者・黒川は若山正人(九大)らとの共同研究によりゼータ正規化積を用いて定義される多重三角函数がいつ代数的微分方程式を満たすかを研究した.その結果,定義にかかわる重みが有理的なときには,Ostrowskiの古典的結果(1920年)を用いることで,代数的微分方程式を満たすことが分かった.ゼータ正規化にしては,捻れホモロジーの離散化が見え隠れする. 分担者・落合は主に半単純リー群の無限次元表現をD加群を中心とした代数解析的方法により研究し,西山享(京都大),C.B.Zhuとの共同研究で,テータ持ち上げで得られる特異な表現に対して、表現の不変量の一つである随伴サイクルの重複度がSelberg積分の拡張で表されることを示し,その特別な場合にはガンマ函数の積による表示を行った. 分担者高田は2橋結び目のcolored Jones polynomialの公式を利用し,大槻不変量を計算機ソフトを使って計算することにより,その代数的性質を調べた.
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