2005 Fiscal Year Annual Research Report
偏微分方程式の解の空間臨界点および等位面の挙動と解の形状
Project/Area Number |
15340047
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
坂口 茂 愛媛大学, 理学部, 教授 (50215620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 貴宏 愛媛大学, 理学部, 助手 (60291499)
三上 敏夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70229657)
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Keywords | 熱方程式 / porous medium方程式 / 初期境界値問題 / 初期値問題 / ガスコンテント / ヒートコンテント / 非線形拡散方程式 / 等位面 |
Research Abstract |
主な研究目的は、拡散方程式の初期境界値問題および初期値問題において、解の時刻について不変な等位面や解の初期挙動と領域の幾何との関わりについて調べることである。今年度、この研究によって得られた新たな知見は主に次のようである。 1.N次元ユークリッド空間(N≧2)の滑らかな有界領域Ωにおいて、初期値を零、境界値を正定数とする熱方程式の初期境界値問題を考える。このとき、Ωの境界∂Ωに接するΩ内の球B内の解の空間積分(ヒートコンテント)の初期挙動を記述する漸近公式に∂Ωと∂Bの接点での∂Ωの主曲率が表れる。証明には初期時刻の近傍での優解と劣解を境界∂Ωからの距離関数と時刻の2つの変数をもつ自己相似解の形として構成できることを利用する。(Proceedings of the Royal Society of Edinburgh, Section Aに掲載受理) 2.N次元ユークリッド空間(N≧2)において、有限伝播性をもつ一般化されたporous medium方程式、p-Laplacian (p>2)の発展方程式、および熱方程式の初期値問題を考える。初期値として、滑らかな有界領域Dの特性関数を与える。このとき、Dの境界∂Dに接しDと交わらない球B内の解の空間積分(ガスコンテント)の初期挙動を記述する漸近公式に∂Bと∂Dの接点での∂Dの主曲率が表れる。証明には初期時刻の近傍での優解と劣解を境界∂Dからの符号付き距離関数と時刻の2つの変数をもつ自己相似解の形として構成できることを利用する。(論文準備中) 3.N次元ユークリッド空間(N≧2)の滑らかな有界領域Ωにおいて、初期値を零、境界値を正定数とするある一様放物型非線形拡散方程式の初期境界値問題を考える。このとき、もしΩの滑らかな真部分領域Dが存在し∂Dが常に解の等位面であるならば、Ωは球に限る。この結果はR.Magnanini-S.Sakaguchi (Annals of Math.2002)の熱方程式に関する結果の非線形拡散方程式への拡張に当たる。証明は線形拡散方程式の初期挙動に関するS.R.S.Varadhanの結果の非線形拡散方程式への一般化とA.D.Aleksandrovの折り返しの方法による。(論文準備中)
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Research Products
(2 results)