2005 Fiscal Year Annual Research Report
微視的理論による原子核の熱力学的性質の研究と宇宙核物理学ヘの応用
Project/Area Number |
15340070
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中田 仁 千葉大学, 理学部, 助教授 (80221448)
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Keywords | 核準位密度 / 殻模型モンテカルロ法 / 有限温度BCS理論 / 粒子数射影 / 超流動・常流動相転移 / Hartree-Fock-Bogolyubov近似 / ガウス関数展開法 |
Research Abstract |
原子核の熱力学的性質に関して,理論的立場から次のような研究を行った。 1.^<162>Dyに対して,殻模型モンテカルロ法を用いた準位密度の計算を実行し,四重極集団運動及び対相関(慣性モーメント)に関連した有効相互作用の強度を適切に選ぶことにより,希土類領域の変形核についても微視的立場から実験データをほぼ再現できることを示した。 2.有限系での温度変化に伴う相転移,特に超流動・常流動相転移について調べるため,カノニカル集団におけるBCS型理論を初めて定式化した。この理論形式は,粒子数射影後に近似的自由エネルギーの変分を行うことにより導かれるものである。原子核だけでなく,ナノスケールのグレインにおける超伝導の研究等にも役立つことが期待される。また,この理論に基づく数値計算のための準備を行った。 3.原子核における超流動・常流動相転移に関して,熱容量が温度に対して示すS字型の振舞いがその指標として実験的立場から提案されている。我々は,このS字型が準粒子励起の自由度と関連しており,粒子数保存の効果であることを明らかにした。 4.不安定核の準位密度や熱力学的性質を理解する上で,不安定核領域の殻構造を知ることは不可欠である。対相互作用の効果を詳しく調べるため,ガウス関数展開法を応用したHartree-Fock-Bogolyubov(HFB)計算の新しいアルゴリズムを開発し,その有効性を確認した。特に波動関数の漸近的性質が,理論の要請をほぼ再現することを示した。また,N=16及びN=32領域で有効相互作用により殻構造に違いが見られるが,HFB計算を実行するとshell gapとpairing gapがほぼcompensateすることが分かった。
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Research Products
(3 results)