2005 Fiscal Year Annual Research Report
陽子対スピン相関測定によるEPRパラドックスの検証
Project/Area Number |
15340071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢向 謙太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50361572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川畑 貴裕 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80359645)
佐川 弘幸 会津大学, 総合数理科学センター, 教授 (50178589)
佐藤 義輝 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (00359689)
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Keywords | EPRパラドックス / アインシュタイン / ベルの不等式 / スピン一重状態 / スピン相関偏極度計 / GHZ模型 |
Research Abstract |
量子力学の完全性についてアインシュタインらによって投げかけられたEPRパラドックスを、1964年にJ.S.ベルによって定式化された不等式(ベルの不等式)の破れを実験的に測定することで、解決を目指すのが本研究の目標である。そのためには、(1)1SO状態の生成、(2)崩壊粒子のスピン相関測定が必要であるが、従来これらを原子核の系で実験的に実現することはできなかった。我々は、(d,2He)核反応により2陽子系の高純度1SO状態を生成し、高エネルギーにブーストされた崩壊2陽子のスピン相関を測定する偏極度計EPOLを開発することで、このEPRパラドックスの解決を目指す。 昨年度までに取得したデータの詳細な解析の結果、ベルの不等式は2.9σの標準偏差で破れていることがあきらかになった。これは、99.6%の信頼度でEPRの主張が否定されることに相当する。光の相関を用いたベルの不等式検証実験と比べて、1SO状態の生成を1イベント毎に追える点、多くの角度点の偏極相関係数を一網打尽に測定できる点が有利であるが、EPOLの偏極分析能が有意に1より小さいことにより、ループホールを生じた。これを慎重に検討して、論文を作成し、現在投稿中である。 また、2粒子測定についての量子力学とアインシュタインらの局所実在論の差異を記述するベルの不等式をさらに押し進めたものに、GHZ模型とよばれる理論が存在する。その検証には、陽子対の時と同様、スピン一重項状態からの崩壊粒子のスピン相関を測定するが、3粒子のスピン相関測定を要する。そのための3粒子スピン相関偏極度計を開発した。こちらのデータ取得も終え、データ解析が進行中である。 このように当初の研究目標を上回る研究成果を上げることができた。
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