2004 Fiscal Year Annual Research Report
不安定核構造研究のための新しい電子散乱実験法の開発
Project/Area Number |
15340092
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
若杉 昌徳 独立行政法人理化学研究所, 加速器技術開発室, 先任研究員 (70250107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 利美 独立行政法人理化学研究所, 本林重イオン核物理研究室, 副主任研究員 (30202138)
小関 忠 独立行政法人理化学研究所, 加速器技術開発室, 先任研究員 (70225449)
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Keywords | 不安定核ターゲット / 電子散乱 / イオントラッピング |
Research Abstract |
本研究の目的は、不安定核の電子散乱実験を実現し、短寿命核の電荷分布の精密測定を始めて可能にしうる、不安定核ターゲットシステムの開発である。我々の考案したこのターゲット生成装置を"自己閉じ込め型不安定核ターゲット(SCRIT)"と称している。原理的には、SCRITは電子散乱実験で使用する高エネルギー電子ビームを蓄積した電子蓄積リング中に形成し、その電子自身が作る負のポテンシャル内に不安定核を入射することで、イオンはトラップされ、電子ビーム衝突のターゲットとして機能する。このアイデアを基に、平成15年から16年にかけて、SCRIT装置のプロトタイプ製作し、平成16年1月に京都大学化学研究所の電子蓄積リング(KSR)にインストールした。この年5月までは、実験と測定のための環境整備、電子ビーム蓄積試験、および電子リング周りでのノイズ測定等基礎データの収集を行った。続いて、5月から10月にかけて、SCRIT装置を差動させ、先ず安定核である、Snイオンの蓄積試験を行い、僅かながらSnイオンがSCRIT内に蓄積されたことを確認した。続いて多少のイオン入射装置の改造を行い^<133>Csイオンの蓄積試験を行った。これらの実験においてSCRIT装置は非常に良く動作し、電子ビーム電流80mA時において、約10^7個の^<133>Csイオンを2秒間程度の寿命で蓄積し、この間の電子ビームとの衝突ルミノシティーは約5×10^<26>cm^<-2>s^<-1>であることが判明した。この結果SCRITは電子散乱実験におけるターゲットとして十分機能することが実証された。
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Research Products
(1 results)