2004 Fiscal Year Annual Research Report
高磁場STM・STSによる高温超伝導体の磁束格子観察と磁束内反強磁性秩序の研究
Project/Area Number |
15340104
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小田 研 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70204211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃野 直樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00261280)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 磁束状態 / 磁場誘起反強磁性秩序 / STM / 中性子散乱実験 |
Research Abstract |
本研究では、銅酸化物高温超伝導体で最近注目を集めている磁場誘起反強磁性秩序の起源を明らかにすることを目的として、La_<2-x>Sr_xCuO_4(La214)とBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+□>(Bi2212)の磁束状態を走査トンネル顕微鏡(STM)により詳しく調べている。 今年度は、極低温・強磁場下でのSTM装置の整備を行った結果、Bi2212に加えLa214においても原子分解能が得られるようになった。La214における極低温STM原子像の観測は、これまでに殆んど報告された例はなく、世界的で最初の成功例と考えられる。また、Bi2212におけるSTM実験では、これまで「ナノスケールにおける超伝導状態と非超伝導状態(擬ギャップ状態)の共存(グラニュラー超伝導状態)」が報告されていた低キャリアー濃度の試料でも、少なくとも数10ナノメータに渡って比較的均質な超伝導状態になっていることを示し、グラニュラー超伝導が非本質的なものであることを明らかにした。さらに、本研究の動機となったスイスPSI研究所との共同によるLa214の中性子実験を継続して行い、磁場中における磁気励起スペクトルも詳しく調べた。これまで、La214の低キャリア(ホール)濃度領域では、磁場により超伝導を抑制すると反強磁性様の秩序が誘起され、超伝導と共存することが報告されていた。この磁場誘起反強磁性秩序は、T_c付近で超伝導と共に消失するものであり、超伝導の発現と密接に関係する現象として注目されている。本研究では、低キャリアーのLa214では磁場によって反強磁性秩序が大きく増強されることを確認した。 以上の成果は、幾つかの国際会議で招待講演として発表すると共に、また、日本物理学会において報告した。
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Research Products
(6 results)