2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340106
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田口 康二郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70301132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 義宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20184864)
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Keywords | フラーレン / アルカリ金属インターカレーション / 絶縁体-超伝導転移 / 固溶体 / 電子比熱 / 状態密度 / ヤン・テラー相互作用 / 軌道縮退 |
Research Abstract |
今年度は、アルカリ金属ドープしたフラーレン系と同様に、バンド絶縁体一超伝導転移を起こす層状窒化物超伝導体も取り扱いながら、フラーレン系における超伝導の特異性、または普遍性を明らかにすることを行った。まず、ブチルリチウム溶液との反応時間を変化させることによって、低ドープ域でリチウム濃度を連続的に変化させた一連の試料を作製し、これらが単相であることを放射光X線回折の実験によって明らかにした。このことは、フラーレン系においてラインフェイズが存在してその間の相が得られないのとは対照的であり、フラーレン固体化学の特異性を浮き彫りにする結果となった。また、層状窒化物超伝導体の磁場中での比熱測定を行い、常伝導状態におけるゾンマーフェルト係数が1.0mJ/molK^2と極めて小さいことを見出した。この値とバンド計算によるフェルミ準位上での状態密度を用いると電子格子結合定数が0.22と小さな値をとることがわかった。このことは、ラマン散乱スペクトルに現れるフォノン線があまり幅広くなっていないことと合致している。これらの結果は、磁化率に現れる比較的大きな状態密度や、高いフォノン周波数と、中間的な強さの電子格子相互作用によって超伝導が発現するフラーレン系とは異なっており、フラーレン系に特有な、分子の形を変形するようなヤン・テラー相互作用の重要性を示している。フラーレン系の場合は電子軌道が縮退しており、これと結合するようなヤン・テラー相互作用の重要性は理論的に指摘されており、これを裏付ける結果となっている。
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Research Products
(11 results)