2004 Fiscal Year Annual Research Report
走査トンネル顕微鏡による銅酸化物超伝導体の電子状態の不均一性と超伝導の研究
Project/Area Number |
15340107
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 典男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (40111306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嵜 照和 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90261510)
米山 直樹 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80312643)
工藤 一貴 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40361175)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 走査トンネル顕微鏡 / 局所電子状態 / 擬ギャップ / 磁束状態 / 原子像観察 / 不純物電子状態 |
Research Abstract |
本研究の目的は酸化物高温超伝導体の局所電子状態を低温強磁場中で動作する走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて原子スケールで観察し、高温超伝導体で観察されている電子状態の空間的不均一のメカニズムと超伝導の関係を探ることにある。本年度行った研究は以下のとおりである。 1)(Bi, Pb)_2Sr_2CuO_y単結晶の作製と巨視的電子状態の観察 Pb濃度の異なるBi_<2.12-X>Pb_XSr_<1.88>CuO_y(x=0.38,x=0.3)単結晶の酸素濃度を制御して、超伝導転移温度が最も高い最適濃度に対して、キャリア濃度が不足したアンダードープから過剰なオーバードープまでの広いキャリア濃度を持つ単結晶試料の作製に成功し、磁場中におけるc軸抵抗を測定することによって2種類の擬ギャップ状態が観測されることを明らかにした。一方は、超伝導転移温度と直接関係するが、もう一方はキャリア濃度に依存するが超伝導とは直接関係していない。 また、Pb濃度の異なる試料において低温STMを用いた原子像観察に成功した。その結果、x=0.38では期待されたようにBi原子位置の長周期構造は観測されなかった。しかし、キャリア濃度の不均一性は残っているように思われる。 2)YBa_2Cu_3O_y単結晶の作製とSTSによる局所電子構造の測定 窒素雰囲気中で熱処理することによってアンダードープ領域にある60K相単結晶の作製条件を確立し、YBCOにおける異方性の大きさを制御する手法を確立した。それによって2次元性の強い試料で磁束融解曲線における2D-3D転移を観測した。STMによってNi不純物の観測に成功し、そのSTS像からNi原子に付随するd電子が価電子バンドの深い位置に存在することを原子レベルで明らかにした。
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Research Products
(6 results)