2005 Fiscal Year Annual Research Report
走査トンネル顕微鏡による銅酸化物超伝導体の電子状態の不均一性と超伝導の研究
Project/Area Number |
15340107
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 典男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (40111306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嵜 照和 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90261510)
米山 直樹 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80312643)
工藤 一貴 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40361175)
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Keywords | 銅酸化物超伝導体 / 走査トンネル顕微鏡 / 電子状態 / YBa_2Cu_3O_y / Pb置換Bi2201 |
Research Abstract |
[1]YBa_2Cu_3O_y単結晶の低温STM/STS 酸化物高温超伝導体において,電子状態のナノスケールでの空間不均一や不純物置換による電子状態の変化を明らかにすることは高温超伝導の発現機構を考える上で重要である.本年度は,YBa_2Cu_3O_y単結晶を低温劈開して得られたアンダードープ表面について低温STM測定を行った.BaO面では,これまで報告してきたように,高バイアスにおけるSTM像にBaとOから構成される原子面のみが観測されるが,10mV以下の低バイアス領域ではCu-0の結合方向に変調構造が存在することが分かった.この変調構造は1次元性が比較的強く,3~4格子定数程度の間隔で存在するが,その配列は周期的ではなく乱れた配置をとっている.Zn, Ni不純物を置換したYBa_2Cu_3O_yにおいても類似した1次元的変調構造が現われることから,高温超伝導体に存在する不均一電子状態がアンダードープと不純物置換によって引き起こされると考えられる. [2]オーバードープPb置換Bi2201の低温STM/STS アンダードープの高温超伝導体で観測された4a×4a秩序状態の起源を明らかにするため、オーバードープPb置換Bi2201の低温STM/STSを行った。その結果、BiサイトにPb原子を0.38だけ置換したBi2201において、b軸方向の長周期構造が抑制されていることを確認した。一方、バイアス電圧を下げていくと、150mVで10-30Å程度の領域のパッチ状あるいは帯状の明暗が部分的に出現し、50mvでほぼ全領域を占めることが分かった。今のところパッチ状構造の起源は明らかではないが、出現位置とPb原子位置に相関がないことから、少なくとも構造の乱れではなく電子相関が起源であると推察された。パッチ状構造には4a×4a秩序状態のような周期性が見られないが、測定した試料がオーバードープであるため、過剰なホールによって乱された秩序状態である可能性も考えられる。
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Research Products
(7 results)