2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 俊人 東京大学, 物性研究所, 助教授 (00192526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大道 英二 東京大学, 物性研究所, 助手 (00323634)
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Keywords | 有機導体 / 低次元電子系 / スピン密度波 / 微細構造 / ヘテロ接合 / 電界効果 / 磁気抵抗角度効果 / FET構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、スピン密度波(SDW)状態にあるTMTSF系有機導体等に接合構造やFET構造などの人工微細構造を形成し、境界条件を人工制御することにより密度波相の変調を試みることである。本年度からは対象とする有機導体に単結晶グラファイトも加えることにした。これはグラファイトが強磁場下で未知の密度波相転移を示すことと、通常の有機導体に比べて微細加工の制御性が良いことによる。 本年度は初年度導入した設備を用いて、低次元有機導体の人工構造形成技術の研究を行った。具体的にはグラファイト細線構造形成を例にプロセスの条件出しを行った。プロセス手順は以下のとおりである:(1)シリコン基板上にエポキシ系樹脂のスタイキャストを塗布する。(2)スーパーグラファイト(モザイク状の高配向グラファイト多結晶)の結晶片を貼り付ける。(3)粘着テープを用いて1ミクロン以下の厚さに劈開する。(4)電極パッドを銀ペーストあるいは金蒸着で形成する。(5)ワイアのマスクをセットする。(6)ECR(電子サイクロトロン共鳴)イオンシャワー装置を用いて酸素プラズマによりグラファイトを灰化してドライエッチングする。以上の工程により幅10ミクロン以下の細線構造の形成が可能となった。細線とバルクの磁気抵抗測定を行い、Shubnikov-de Haas振動の減衰率を比較することで、プラズマプロセスが細線グラファイトにダメージを与えていないことを確認した。 グラファイトは100T以上の超強磁場で種々の密度波転移を示す可能性が示唆されている。パルス超強磁場下で伝導実験を行う際には、渦電流による試料の自己発熱が大きな障害となるが、細線化したグラファイトではこの発熱が局限できる。現在、細線試料の超強磁場下伝導測定による新しい密度波状態の探索研究が進行中である。
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Research Products
(4 results)