2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340111
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 祐司 東京大学, 物性研究所, 助教授 (50199816)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井澤 公一 東京大学, 物性研究所, 助手 (90302637)
|
Keywords | 異方的超伝導 / スクッテルダイト / 超伝導対称性 / 磁束格子 / 重い電子 / ホール効果 / 磁気抵抗 / ネルンスト係数 |
Research Abstract |
本年度は主として異方的超伝導体の超伝導状態及びノーマル状態の研究を行った。スクッテルダイト超伝導体PrOs_4Sb_<12>の超伝導状態の研究では、熱伝導度を磁場を様々な方向にかけて測定することにより低磁場で結晶の対称性を破った2回対称のまた高磁場では4回対称の超伝導波動関数が現れていることを明らかにした。このことはこの超伝導体で磁場と温度により対称性が異なる相を持つことを示している。我々は引き続き中性子小角散乱の実験により磁束格子の観測を行い渦糸格子にも2回対称性が現れることを明らかにした。現在超音波の音速測定によりこの系の超伝導状態の解明を行っている。次に2次元重い電子超伝導体CeCoIn_5のノーマル状態において電気抵抗、ホール係数、磁気抵抗を測定しこれらの量がフェルミ流体の予測とは大きく異なっていることを明らかにした。これらの物理量の温度依存性と磁場依存性はすべて高温超伝導体で観測されたものと類似しており類似したメカニズムにより決定されている可能性を示唆している。また圧力をかけることにより系はフェルミ流体的な振る舞いを示すことも明らかになりつつある。さらに超伝導転移温度以上でゼーベック係数とネルンスト係数を測定した。フェルミ流体理論ではノーマル状態ではネルンスト係数はゼロか極めて小さいことが予測されていたがこの物質ではフェルミ流体理論の予想よりも3桁近い大きな値が観測された。このような巨大なネルンスト係数は高温超伝導体のアンダードープ領域やTMTSF系超伝導体において観測されておりそのメカニズムに関しては今のところ謎であり今後明らかにしていきたいと考えている。現在超音波吸収の実験を行いこの物質の超伝導状態についての詳細な解明を行いつつある。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] K.Izawa et al.: "Multiple Superconducting Phase in New Heavy Fermion Superconductor PrOs_4Sb_<12>"Physical Review Letters. 90. 117001 (2003)
-
[Publications] K.Kakuyanagi et al.: "Antiferromagnetic vortex core in Tl_2Ba_2CuO_<6+δ> studied by nuclear magnetic resonance"Physical Review Letters. 90. 197003 (2003)
-
[Publications] A.Shibata et al.: "Anomalous Flux Flow Resistivity in Two Gap Superconductor MgB_2"Physical Review B. 68. 060501 (2003)
-
[Publications] S.Colson et al.: "Vortex fluctuations in underdropedBi_2Sr_2CaCu_<8+δ> crystals"Physical Review Letters. 90. 137002 (2003)
-
[Publications] Y.Nakajima et al.: "Normal-state Hall Angle and Magnetoresistance in quasi-2D Heavy Fermion CeCoIn_5 near a Quantum Critical Point"Journal of Physical Society of Japan. 73. 5 (2004)
-
[Publications] R.Bel et al.: "Giant Nernst Effect in CeCoIn_5"Physical Review Letters. (in press).