2005 Fiscal Year Annual Research Report
反強磁性核整列固体ヘリウム3の磁区構造と異方的熱伝導度
Project/Area Number |
15340117
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 豊 京都大学, 低温物質科学研究センター, 助教授 (60205870)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水崎 隆雄 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20025448)
|
Keywords | 核整列固体ヘリウム3 / 反強磁性 / 磁区構造 / 核磁気共鳴映像法 / 磁壁 / メモリー効果 / マイクロケルビン / 自由誘導減衰 |
Research Abstract |
従来より行ってきた2次元の超低温度核磁気共鳴映像法(ULTMRI)を改良して、3次元ULTMRI法の開発に成功した。この方法によりU2D2-3Heの磁区構造を研究し、単結晶試料の結晶軸の方位、磁壁の方位などを仮定なしに同定できるようになった。得られた結果は従来の2次元測定の結果を特殊な仮定下で解析した結果とコンシステントであったが、今回の測定では仮定なしに磁壁の方位が[110]であるとの結果が得られ確証を得たことになる。この磁壁の方位は磁壁をまたぐ多体交換相互作用のエネルギーロスが最少になる配置をとっており、多体交換モデルがこの物理系の磁性をよく記述していることを示している。また外部磁場を掃引してU2D2相とCNAF相という磁気対称性の異なった2反強磁性相を行き来させたときの、秩序構造の時間空間発展を研究した。安定相の時間発展は2段階にわかれ、その第一過程は指数関数型であり、この過程が安定相の核生成に支配されていることを示している。またこの過程が途中でより低速な過程に置き換わることに注目して、核生成した安定相の種が成長するときに一次相転移にともなう潜熱放出による駆動力の喪失を起こすことが原因であることを発見した。またMRI測定により、第一過程で発生する安定相の核が結晶内でまんべんなく分布していること、および結晶そのものの生成過程により第一過程での成長レートが影響を受けることから、この核生成のおきる場所が結晶内の結晶学的線欠陥あるいは磁気的面欠陥ではないかと考えるに至った。
|
Research Products
(5 results)