2004 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系の量子臨界点近傍の磁気励起と量子相分離の解明
Project/Area Number |
15340118
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 憲二 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90243196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中辻 知 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70362431)
門野 良典 京都大学, 高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所, 教授 (10194870)
髭本 亘 特殊法人日本原子力研究所, 副主任研究員 (90291103)
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Keywords | 量子臨界点 / 磁気励起 / 核磁気共鳴 / 銅酸化物高温超伝導体 / ストライプ秩序 |
Research Abstract |
本年度は、申請書に上げている(1)乱れの影響を受けていない磁気量子臨界点の振る舞いとして、Bi-layer構造を持つRu酸化物Sr_3Ru_2O_7の磁気量子臨界現象を、(2)ドープによって引き起こされる磁気秩序と超伝導の相分離現象を、銅酸化物高温超伝導体La_<2-x>Sr_xCuO_4における磁性と超伝導の関係を微視的測定の核磁気共鳴、ミュオンスピン共鳴の実験から調べた。以下にそれぞれの研究成果を述べる。 (1)Ru酸化物Sr_3Ru_2O_7の磁場誘起量子臨界点における磁気励起 Sr_3Ru_2O_7では一時相転移の臨界点が、磁場と試料のなす角θを変化させることによりT=0となった量子臨界点で、外部磁場をパラメターとして量子臨界現象が現れる。この量子臨界点に相当する磁場H_Mにおいて、酸素の核磁気共鳴の実験から、磁気励起がT=0で異常を持つ量子臨界ゆらぎの性質を持つことを明らかにした。また、Sr_3Ru_2O_7とYbRh_2Si_2の比較から一次と二次相転移によって引き起こされる量子臨界点の違いも示した。前者の場合は臨界点の上下で相に変化がないが、後者には相の違いが見られる。これらの結果は現在論文投稿中である。 (2)銅酸化物高温超電導体La_<2-X>Sr_XCuO_4における磁性と超伝導 La_<2-X>Sr_XCuO_4(LSCO)の磁性と超伝導の臨界濃度(x=0.06)近傍のx=0.07の試料において、磁性と超伝導の関係をミュオン共鳴実験から調べた。高均一、高磁場超伝導磁石を用いることで、今回初めて微視的帯磁率の測定を2Kまで行った。その結果試料に、(a)磁気相と超伝導相といった相分離が見られないこと、(b)超伝導転移温度(T_C〜17K)以下T_M〜4Kで静的磁気秩序を起こすこと、(c)bulkの性質として超伝導は確認できるものの、磁気秩序状態では90%以上が内部磁場を感じていること、(d)100K以下の温度で、変調を受けた反強磁性相関が発達することを明らかにした。これらの微視的な結果と、中性子散乱実験の結果を考慮し、我々は磁性と超伝導が共存する状態としてストライプ状態を考え、ストライプ構造のミクロな構造を提案した。今回の実験結果は、中性子散乱から考えられているストライプ構造に関する、初めてのミクロな情報である。この結果は現在投稿中である。
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Research Products
(6 results)