2003 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウムおよび中性原子気体ボース凝縮系における量子渦の物理
Project/Area Number |
15340122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
坪田 誠 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10197759)
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Keywords | 超流動ヘリウム / ボース凝縮 / 量子渦 / 超流動乱流 / 渦タングル / 渦格子 |
Research Abstract |
量子渦は、ボース凝縮系に特有な位相欠陥である。Onsager、Feynmanによる予言以降、量子渦は、低温物理学における重要な研究対象として、主に超流動ヘリウムを舞台に膨大な研究が行われてきた。一方、1995年にレーザー冷却により実現した中性原子気体ボースアインシュタイン凝縮系(BEC)においても、量子渦が観測され、爆発的な研究が行われている。本研究は、超流動ヘリウムと原子気体BECの量子渦の物理を統括的に扱い、それぞれにおいて最も重要な問題の理論的・数値研究を行うとともに量子コヒーレント凝縮系(個々の粒子の物質波がボース凝縮によりコヒーレントになり、巨視的な波動関数を生み出した系)における位相欠陥の統一した知見を提供するものである。今年度得られた主な成果は次の通りである。(1)超流動3Heにおいて、速度に依存せず、温度によって内的パラメータを制御して引き起こされる超流動乱流遷移を発見した。この研究は、2003年のノーベル物理学賞に関連して、現在最も重要な超流動の研究としてノーベル財団のホームページで紹介されている。(2)超流動ヘリウムの量子渦糸上におけるケルビン波カスケード過程を明らかにした。これは、超低温における渦の減衰や、高い波数におけるエネルギースペクトルの構造に関連している。(3)系の回転は渦を整列させ格子を形成し、流れ場は渦を乱したタングル状態(超流動乱流)を作る。回転と流れ場がともに共存する時、回転軸方向に分極したタングルが形成されることを初めて示した。(4)二成分BECの特異な渦構造を、回転振動数と二成分間相互作用を変数とした相図を描くことにより、明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A.P.Finne, M.Tsubota et al.: "An intrinsic velocity-independent criterion for superfluid trubuelnece"Nature. 424. 1022-1025 (2003)
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[Publications] W.F.Vinen, M.Tsubota, A.Mitani: "Kelvin-wave cascade on a vortex in superfluid 4He at a very low temperature"Physical Review Letters. 91. 135301(1)-135301(4) (2003)
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[Publications] K.Kasamatsu, M.Tsubota, M.Ueda: "Vortex phase diagram in rotating two-component Bose-Einstein condensate"Physical Review Letters. 91. 150406(1)-150406(4) (2003)
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[Publications] M.Tsubota, T.Araki, C.F.Barenghi: "Rotating superfluid turbulence"Physical Review Letters. 90. 205301(1)-205301(4) (2003)
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[Publications] K.Kasamatsu, M.Tsubota, M.Ueda: "Nonlinear dynamics of vortex lattice formation in a rotating Bose-Einstein condensate"Physical Review A. 67. 033610(1)-033610(14) (2003)
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[Publications] 坪田 誠: "回転するボース凝縮体のダイナミクス"固体物理. 38. 325-331 (2003)