2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度熱測定システムを用いた圧力下におけるπ-d有機伝導体の特異な相転移の研究
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15340123
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
西尾 豊 東邦大学, 理学部, 教授 (20172629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶田 晃示 東邦大学, 理学部, 教授 (50011739)
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Keywords | 電荷秩序 / 相転移 / 比熱 / 有機導体 / 圧力 / DTA法 / 1価-2価転移 / スピン-パイエルス転移 |
Research Abstract |
本年度は圧力下の比熱測定装置の開発の最終段階を遂行した。まず昨年度までに開発された(Diffrential Thermal Analysis)DTA法を用いた比熱の測定法の確立を目指した。この測定法を活用して次の温度掃印に伴う相転移について研究を行った。 1)ビフェロセン-F_1TCNQの1価-2価転移 2)Ni(mnt)系のスピンパイエルス転移 3)Pd(dmit)系の特殊な電荷秩序の形成と前駆現象 4)theta-(BEDT-TTF)_2RbZn(SCN)_4系の掃印速度に依存した電荷秩序の形成 5)alpha-(BEDT-TTF)_2I_3の電荷秩序の形成 Ni(mnt)系以外の4つの系では昇降過程による潜熱の放出、吸収および比熱のヒステリシスが観測されるため一次相転移であることが判明した。またPd(dmit)系、theta-ET-RbZn系、alpha-ET-I_3系の最も注目すべき点である電荷秩序形成時のスピン、電子系、格子系の寄与を定量的に評価することが出来た。またビフェロセン系についてはこの測定より得られた潜熱を用いて内部エネルギーを見積もり、1価-2価転移の実現条件を明らかにした。 次に、BeCuを用いて15kbarまでの圧力下で使用可能な小型のセルを開発し、DTA法を応用して高精度の測定システムの開発を目指し、10kbarまでは圧力がかかることを本年度は確かめた。これを用いて、本年度はシステムの点検、確認のため代表的な反強磁性体であるMnF_2の比熱を測定した。T_N=68Kで2次相転移に代表的な比熱のピークが観測された。無機物質であるMnF_2では圧力効果が顕著に観測できないため、Pd(dmit)系の転移近傍の比熱測定を行った。まず転移に伴う潜熱を観測出来し、引き続き加圧に伴い転移温度が上昇すると共に潜熱の減少が定量的に観測可能となった。
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Research Products
(6 results)