2003 Fiscal Year Annual Research Report
結晶成長抑制タンパク質の界面吸着効果による氷の自発的振動成長とそのダイナミクス
Project/Area Number |
15340136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 良樹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90029968)
横山 悦郎 学習院大学, 計算機センター, 助教授 (40212302)
片桐 千仭 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (90002245)
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Keywords | 氷結晶 / 不凍糖タンパク質 / 界面吸着 / 結晶成長機構 / 結晶成長制御 / カイネティクス |
Research Abstract |
代表的な結晶成長抑制タンパク質であるAFGP(Antifreeze Glycoprotein)の水溶液中での氷結晶成長速度を光干渉計を用いて精密測定した。その結果、氷のベーサル面の成長速度がAFGPの濃度が増加するに従い、桁違いに増加することを見出した。すなわち、AFGP分子の界面吸着により、氷のプリズム面は成長が抑制されるのに対しベーサル面は促進されることがはじめて実験的に明らかになった。 このことは、従来知られていた不純物分子が成長ステップ(あるいは界面)に吸着することにより成長ステップの移動がピン止めされるというギブス・トムソンモデルによる結晶成長機構が、ベーサル面では完全に否定されたことを意味する。本研究では、ベーサル面の成長促進を説明する新しいモデルを構築した。これは、ステップにAFGPのような巨大分子が吸着した場合は、ステップの高さより分子の方が圧倒的に大きく、吸着分子が新たなステップの生成源になるというモデルである。現在、このモデルをベースにAFGPの吸着状態でのコンフォメーションの解析実験も進行中である。 一方、AFGP水溶液中で成長する氷結晶界面では、成長ステップの運動が観察される。このステップ運動と界面に吸着したAFGP分子の相互作用を同時観察するために、現有していた位相差顕微鏡に取り付け可能な蛍光観察装置を導入した。氷結晶の界面における蛍光ラベルを付けたAFGP分子の挙動の観察を可能にするため、特別仕様とした。この装置では、予備的ながらAFGP分子の分布が観察できることを確認し、来年度に本格実験を実施する準備が整った。 以上のような基礎研究により、本研究課題のメインテーマである氷結晶の振動成長機構を解明できる。さらに、マクロ分子による低分子結晶の成長制御という新しい研究分野の開拓にもつながる成果である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Nagashima, Y.Furukawa: "Effects of gravity on pattern formation in directional growth of ice crystals"Canadian J.of Physics. 81, 1/2. 99-105 (2003)
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[Publications] N.Takenaka, S.Furuya, K.Sato, H.Bandow, Y.Maeda, Y.Furukawa: "Rapid reaction of sulfide with hydrogen peroxide and formation of different final products by"International Journal of Chemical Kinetics. 35. 198-205 (2003)
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[Publications] H.Nada, J.P.Van der Eerden, Y.Furukawa: "A clear observation of crystal growth if ice from water in a molecular dynamics simulation with a six-site potential model of H_2O"J.Crystal Growth. (印刷中). (2004)