2004 Fiscal Year Annual Research Report
結晶成長抑制タンパク質の界面吸着効果による氷の自発的振動成長とそのダイナミクス
Project/Area Number |
15340136
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 千仭 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (90002245)
横山 悦郎 学習院大学, 計算機センター, 教授 (40212302)
松浦 良樹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90029968)
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Keywords | 氷結晶 / 不凍タンパク質 / 結晶成長カイネティクス / 界面吸着 / 界面成長ステップ |
Research Abstract |
結晶成長を抑制すると考えられているタンパク質であるAFGP(Antifreeze Glycoprotein)の水溶液中での成長する氷結晶界面を位相差顕微鏡により観察した。その結果、界面成長ステップの運動が観察された。AFGPを含まない純水中では、ステップ運動が観察されることはほとんど無いので、AFGP分子が界面に吸着することにより、ステップの発生が促進され、それらがバンチングを起こすことでステップが可視化されたものと考えられる。すなわち、この結果は、AFGP分子の界面吸着により、氷のベーサル面の成長が促進されるという前年度に得られた結果を界面カイネティクスの視点で検証することができた。 一方、AFGP分子と界面成長ステップとの相互作用を解明するために、AFGP分子に蛍光ラベルをつけて、紫外線照射により励起される蛍光を精密観察することで、分子の可視化を実現した。この装置を使うことで、AFGP分子の界面近傍での分布状況や界面吸着状態の解析が可能である。界面近傍でのAFGPの分布の変動は、結晶成長に伴うAFGPの拡散場を観察することに成功した。現在、温度勾配場での一方向成長法による界面観察と組み合わせることで、結晶成長速度の変動を拡散場の変動の関連を解析中である。 また、糖を含まない種類の不凍タンパク質(AFP TypeI)の水溶液中での氷結晶成長の実験を行い、新たに成長条件(AFP濃度と過冷却度)と結晶の成長形の関係を示すダイヤグラムを完成した。その結果、樹枝状結晶に奥行のある"リボン状"結晶が生成されることを発見した。このような結晶形は、従来全く報告されたことの無い新しい樹枝状結晶であり、従来の結晶成長のモデルでは整理・解釈が困難である。このようなことから、今後はAFPによる結晶成長カイネティクスへの効果も重要な研究対象として含める予定である。
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Research Products
(5 results)