2005 Fiscal Year Annual Research Report
結晶成長抑制タンパク質の界面吸着効果による氷の自発的振動成長とそのダイナミクス
Project/Area Number |
15340136
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 千仭 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (90002245)
横山 悦郎 学習院大学, 計算機センター, 教授 (40212302)
松浦 良樹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90029968)
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Keywords | 結晶成長 / 自励振動 / 氷結晶 / 不凍タンパク質 / カイネティクス / 蛍光観察 / 拡散場 |
Research Abstract |
温度勾配下で薄膜状の成長セルを一定速度で移動させる一方向成長法により、AFGP水溶液からの結晶成長実験を行った。AFGP分子は蛍光物質でラベルされ、蛍光顕微鏡により成長界面近傍の蛍光強度分布を測定した。蛍光強度は、蛍光ラベルした分子の数密度に比例するので、これによりAFGPの濃度分布を解析した。この測定法の感度は、AFGP濃度が0.5mg/ml(すなわち、0.05wt%)以下の光干渉計では測定困難な低濃度でも、十分に測定可能である。 まず、一方向成長の場合も界面の位置が前後に振動する現象(すなわち、成長速度の自励振動)が明確に観察された。この振動に伴い、蛍光強度分布の時間変化をその場観察すると、成長速度の変動と連動して拡散場と結晶内へAFGPの取り込み量も周期変動することが明確に示された。すなわち、結晶成長速度の自励振動により結晶内部の不純物の分布に周期性が生じることを意味している。これは、まさに鉱物等の結晶内部にしばしば見られるstriation(縞々模様)の生成過程をその場観察したことになる。従来、簡単なモデルにより成長速度の振動と縞模様の関係は議論されてきたが、実験的にその生成過程を観察できたのはこれが最初である。 また、界面前方での拡散場の減衰過程の解析から、界面に吸着したAFGP分子の離脱過程は、分子量に依存すること、AFGPの拡散係数が(1.02±0.75)×10^<-10>m^2/sであることが明らかになった。この値は、NMRによる測定結果に良く一致する。 これらの実験結果を説明するため、自励振動成長の新しいモデルを構築した。これは、カイネティック係数が結晶成長駆動力に対し非線形な振る舞いをするというモデルで、AFGPの界面吸着の非線形性がこの性質に深く関与していることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)